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サザビーズがアジア全域のフラッグシップ拠点「サザビーズ・メゾン」を香港にオープン

オークションハウスのサザビーズは7月27日、アジアにおける新たなフラッグシップ拠点となる「サザビーズ・メゾン」を香港にオープンさせる。

香港にオープンする「サザビーズ・メゾン」。Photo: Courtesy Sotheby’s、 Image credit: Derry Ainsworth

イギリスに本拠地を置くオークションハウスサザビーズ香港にあった拠点を移転し、7月27日、新たなフラッグシップ拠点となる「サザビーズ・メゾン」をオープンさせる。サザビーズのアジアの拠点はすでにシンガポールがあるが、このサザビーズ・メゾンはアジア全域のハブを担うことになる。

メゾンがオープンする場所は、香港島のセントラル地区。この地域は高層ビルが並び、ラグジュアリーブランドや国内外の有力ギャラリーが軒を連ねる。メゾンのデザインはロッテルダムに本拠を置く建築スタジオ・MVRDVが手掛けた。スペースの敷地は約2230平方メートルにおよぶ。大通りに面した1階スペースでは、美術館級の展覧会やパフォーマンスに加えて、サザビーズの代表的なオークションも開催される。同スペースのグランドオープニング展として、ドイツのアーティスト、ゲルハルト・リヒターの《Eisberg(Iceberg・氷山)》(1982)と、中国の宋代の希少な汝窯陶磁器が時空を超えて美学的・主題的な対話をする「ICE: Two Masterworks on Loan from the Long Museum」展と、仏教芸術の発展を網羅した展覧会「Bodhi: Masterpieces of Monumental Buddhist Art」が開催される(9月11日まで)。2階にはカフェと5つのサロンが設けられ、ファインアートやラグジュアリーアイテムなど20カテゴリーのセカンダリーアイテムの販売が行われる。

同社は新たなメゾン開館を記念して、イギリスの俳優チャールズ・ダンスがナレーションを務める特別映像「Another World」を制作した。そこでは、現代の世界にはコピーのコピーが溢れている中で、それでも我々は「Another World(未知の世界)」を探求できると語る。映像には、これまでサザビーズのオークションに登場してきたルーチョ・フォンタナアンナ・ワヤントなど古今の芸術家のオマージュが随所に散りばめられている。

サザビーズ・アジアの会長ニコラス・チョウは、新拠点のオープンについて、次のように語る。

「『Another World(未知の世界)』は、私たちメゾンの哲学を体現しています。訪問者はこの場所において、数百万年の歴史と多様な文化や文明を反映したアートや収集品の数々を、その優れた美術館的要素を兼ね備えた空間で提供されるプログラムと共に、365日楽しむことができます。私たちの新しいメゾンは、歴史が語られ、創られる場であり、素晴らしい物語の数々が生き生きと蘇る場所になることを確信しています」

「サザビーズ・メゾン」でのオークションは、9月に行われる「香港オークション」を皮切りに、11月には「アジア美術オークション」を開催予定だ。

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