フランク・ロイド・ライト建築、危機と希望の1年──名建築はいかにして保護されるべきか【2025年アートニュースまとめ】

20世紀建築界の巨人、フランク・ロイド・ライト(1867-1959)。彼が手掛けた建築は今なお色あせることはなく、その動向は多くの人が注目している。今年は世界遺産登録抹消の危機や、ビル内の家具が無許可で売却されるなどのトラブルが報じられたが、いずれも回避された。フランク・ロイド・ライト作品をめぐるこの1年のニュースを振り返ろう。

販売が報じられたエリザベス&ロリン・ファーベック邸。Photo: Courtesy Berkshire Hathaway Home Services of Chicago.

フランク・ロイド・ライト「カリル邸」が国家歴史登録財に。「当時のまま」の保存状態を評価

トゥフィック H. カリル邸。Photo: Currier Museum of Art.

1957年にフランク・ロイド・ライト(1867-1959)が設計したアメリカ・ニューハンプシャー州の住宅、トゥフィック H. カリル邸が国家歴史登録財に指定された。


無許可で売却されたフランク・ロイド・ライトの家具を保存団体が取得。散逸防止の「画期的な一歩」

オクラホマ州ワシントン郡バートルズビルにあるプライス・タワー(左)。Photo: Getty Images/iStockphoto

アメリカ・オクラホマ州バートルズビルに建つプライス・タワーは、フランク・ロイド・ライト唯一の高層ビル。そこから許可なく売却されてしまったオリジナル家具などを、ライト建築の保存団体が取得した。このビルをめぐっては、昨年後半に売買契約をめぐる係争が起きていた。


フランク・ロイド・ライト初期の傑作が2億8000万円で販売! 革新的なアイデア満載の大邸宅

売りに出されていたエリザベス&ロリン・ファーベック邸。Photo: Courtesy Berkshire Hathaway Home Services of Chicago.

フランク・ロイド・ライト(1867-1959)の初期の傑作で、革新的な建築として知られるアメリカ・イリノイ州のエリザベス&ロリン・ファーベック邸が販売された。価格は197万5000ドル(約2億8000万円)


フランク・ロイド・ライト設計の名邸宅、世界遺産登録抹消を免れる。予算復活で運営人員を確保

世界遺産に登録されているフランク・ロイド・ライトのホリーホック・ハウス。Photo: Barry Winiker/Getty Images

ロサンゼルス市の予算削減で、約100年前に建てられたフランク・ロイド・ライトの名作住宅の世界遺産登録取り消しが懸念されていた。しかし、同市市議らによる予算復活の努力が実り、危機は回避されることになった。


世界に2点、フランク・ロイド・ライトの超希少なランプがオークションで11億円。最高額を更新

サザビーズに出品された《ダブル・ペデスタル・ランプ》(1903)。Photo: Courtesy Sotheby's

フランク・ロイド・ライト(1867-1959)は様々な建築を手掛ける傍ら、照明も制作していたことが知られている。その中でも世界に2点しか存在しないランプの1点が5月13日にオークションに出品され、750万ドル(約11億円)で落札された。これは2023年に樹立されたライトのオークション記録の2倍以上にあたる。


フランク・ロイド・ライトの建築が「危機リスト」入り。廃墟状態で「迅速な対処が必要」と保存協会

危機に瀕するシカゴのJ.J. ウォルサー・ジュニア邸。Photo: Facebook/Frank Lloyd Wright Building Conservancy

シカゴ西部にある、フランク・ロイド・ライト(1867-1959)が初期に設計した重要な建築物が、シカゴで最も危機に瀕している歴史的建造物リストに加えられた。

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