フランク・ロイド・ライト設計の名邸宅、世界遺産登録抹消を免れる。予算復活で運営人員を確保
ロサンゼルス市の予算削減で、約100年前に建てられたフランク・ロイド・ライトの名作住宅の世界遺産登録取り消しが懸念されていた。しかし、同市市議らによる予算復活の努力が実り、危機は回避されることになった。

2019年、フランク・ロイド・ライトの8つの建築作品が「フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群」として世界遺産に登録された。ニューヨークのグッゲンハイム美術館やペンシルベニア州の落水荘(カウフマン邸)などと並んで選ばれたのが、ロサンゼルス市にある邸宅、ホリーホック・ハウスだ。
ロサンゼルス市の文化局が運営し、1927年から一般公開されているホリーホック・ハウスの世界遺産登録抹消が懸念されたのは、今月上旬に同市に提出された予算削減案で必要な人員が確保できなくなる恐れがあったからだった。
世界遺産登録を維持するには4人の常勤職員が必要だが、現在は2人の常勤スタッフのみで残り2人は欠員となっている。当初の予算案では、この2人の欠員と常勤から1人の3人が削減対象とされていた。
しかし5月21日、同市のヒューゴ・ソト=マルティネス議員は地元メディアのビバリー・プレスに、「予算委員会メンバーの協力のおかげで、文化省の職員を確保するための予算が修正案に盛り込まれた」とコメント。翌22日、市議会は総額1400万ドル(約20億円)の修正案を可決し、4人の常勤職が確保された。
ロサンゼルス唯一の世界遺産であるホリーホック・ハウスは、イースト・ハリウッドのバーンズドール・アート・パークにある。1919年から1921年にかけ、石油王の娘アライン・バーンズドールの依頼で建てられたこの邸宅は、バーンズドールが好きだったホテイアオイ(ホリーホック)をモチーフとした装飾が特徴だ。

一般公開されているこの施設は、有料の見学者ツアーを実施している。前出のソト=マルティネス市議の事務所によると、建物と公園の運営には年間約136万ドル(約2億円)が必要だが、ツアーからは毎年約500万ドル(約7億2000万円)の収入が得られているという。この収入は修正予算に計上された。