アニッシュ・カプーア、ヴェネチア邸宅で「非商業的作品」を展示。物議を醸した代表作も恒久設置へ

アニッシュ・カプーアは、第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(2026年5月9日〜11月22日)に合わせ、自身の財団が所有するヴェネチアの邸宅を舞台に、5月5日から展覧会を開催する。

アニッシュ・カプーア。2022年撮影。Photo: Roberto Serra, Iguana Press/Getty Images

2026年5月9日に一般公開が始まる第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展に合わせて、アニッシュ・カプーアヴェネチア市内で個展を開催する。

会場となるのは、カプーアが自身の財団の拠点とするため2018年に購入したパラッツォ・マンフリン。16世紀前半に建てられたこの邸宅が一般公開されるのは、今回で2度目となる。初公開は2022年で、その際にはヴェネチアにある国立美術館ガッレリエ・デッラ・アッカデーミアと共同で、ナノテクノロジーを用いて制作した新作を紹介する展覧会を開催した。

アートニュースペーパーによると、今回の展覧会は5月5日に開幕。カプーアが過去50年にわたって手がけてきた建築模型、彫刻、インスタレーション約100点が展示される予定で、その大半は実現に至らなかった大規模プロジェクトに関連するものだという。

パラッツォ・マンフリン。Photo: Wikimedia Commons

展示作品の中には、カプーアの代表作である《At the Edge of the World(世界の縁にて)》(1998)の新バージョンも含まれる。空間に吊り下げられた深紅の巨大なドーム状構造体を、観客が下から覗き込むこの作品は、今回、内部が黒で塗装された形で再制作される。また、同じく代表作の《Descent into Limbo(リンボーへの下降)》(1992)も新たに制作され、展覧会終了後にはパラッツォ・マンフリンに恒久設置される予定だ。本作は、展示空間の床中央に開けられた真円の穴の内部を完全な暗黒で覆うことで「底なし穴」のように感じられ、鑑賞者に強い緊張感を与える作品として知られる。2018年にポルトガルのセラルヴェス現代美術館で展示された際には、来館者が誤って約2メートル40センチの穴に落下する事故が起きたことで物議を醸した。

同紙はまた、本展がカプーアの制作における「より非商業的」な側面を掘り下げる機会であるとも報じている。これについて彼は意図的な選択だと語り、次のように説明した。

「市場が消費可能なものに限定されないことが重要です。確かに、私の制作には販売を前提とした側面もあります。しかし、私のキャリアを通じて、蝋で作ったものを含め、さまざまな作品を常に手がけてきました。それらの多くは、ほとんど一度も売ったことがありません。だが、ある意味で、そうした作品こそが私の制作を生かし続けているのです」

カプーアは2026年、ヴェネチアでの展覧会以外にも複数の個展を予定しており、多忙な一年となりそうだ。これまで、ジョージア州サヴァンナのSCAD美術館(2月9日〜6月7日)、ニューヨークのリッソン・ギャラリー(2月11日〜4月11日)、フィンランド・マンッタのセルラキウス美術館(5月23日〜2027年4月4日)、そしてロンドンのヘイワード・ギャラリー(6月16日〜10月18日)での開催が発表されている。(翻訳:編集部)

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