美術史上初めて成功を収めた女性の職業画家、ラヴィニア・フォンターナの作品を美術館の倉庫で発見
フランス・ドゥエーのシャルトルーズ美術館に150年以上前に収蔵された肖像画が、ラヴィニア・フォンターナの作品であることが判明した。この肖像画はこれまで別の画家の作品だと考えられていたが、同館で開催されていたワークショップの講師の指摘により、再調査が行われた。

フランス北部の町、ドゥエーにあるシャルトルーズ美術館に保管されている絵画が、イタリアのルネサンス期を代表するアーティスト、ラヴィニア・フォンターナの作品であることがこのほど判明した。
《Portrait of a Gentleman, his Daughter and a Servant》と題されたこの作品には、襞襟の付いた黒い服を着た父親が描かれており、その横には同じような服を着た娘が彼に花束を手渡す様子が、そして2人の後ろにはフルーツが入ったかごを置こうとしているメイドの姿がある。
この作品は1857年からシャルトルーズ美術館が所蔵しているが、これまでは北方ルネサンスの作品だと考えられていた。ところが、同館が2024年から開催しているイタリア美術の研究と修復を体験するワークショップに講師として参加したフィリップ・コスタマグナによる指摘がきっかけで、調査が行われることとなった。
長い間、フランドルの画家、ピーテル・プルビュスの作品と考えられていた本作は、調査の結果、フォンターナの作品であることが判明。1552年にボローニャで生まれたフォンターナは、父のプロスペロから絵画の手ほどきを受けた。美術史上初めて女性の職業画家として成功を収めた人物として知られる彼女は、バロック期の画家、アルテミジア・ジェンティレスキなど、後に続く女性画家たちの道を切り開いた先駆的なアーティストの一人だ。
フィレンツェとローマ美術を専門とするコスタマグナは倉庫で《Portrait of a Gentleman, his Daughter and a Servant》を発見したとき、「ボローニャ派の要素が隅々まで感じられた」といい、こう続ける。
「一目見てイタリアの絵画だとわかりました。女の子が手に持っている花、襞襟や袖の筆遣いなど、ボローニャ派の作家が使う技法が多く盛り込まれていますから。作品の状態はとても良好ですし、これまでも修復がなされてきたので、絵のゆがみなどはありません。手を加えれば状態はさらによくなることでしょう」(翻訳:編集部)
from ARTnews