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「アンディ・ウォーホル クル・ド・パリ ウォッチ」。994万4000円

ピアジェの「ブラック タイ」がアンディ・ウォーホルの名を冠して復活。ウォーホルを魅了したタイムピースを発表

アンディ・ウォーホルが愛したピアジェの「ブラック タイ」が、「アンディ ウォーホル ウォッチ」として蘇る。ピアジェ家4代目のイヴ・ピアジェがウォーホルと交友関係を築いていたことから実現したパートナーシップの一環として「アンディ・ウォーホル クル・ド・パリ ウォッチ」が販売されるという。

1980年代の芸術的な知識階級は、精神、才能、そして卓越性の象徴とされ、なかでもアンディ・ウォーホルは特に際立った存在だった。シルクスクリーンを手がけるアーティストとしての顔や、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコをはじめとする音楽プロデューサーとしての一面をもっていたと同時に、知識人やハリウッドスター、アリストクラシーとの深い繋がりをもっていたことでも知られている。当時からポップアートの巨匠と目され世界中のメディアが注目する存在であったウォーホルは、アンダーグラウンドシーンと上流社会という、二つの異なる世界に深く関わりをもつ希有な存在だった。

そんなウォーホルが生前にピアジェを愛用していたことをご存じの方も多いだろう。彼はロレックスやパテック・フィリップ、カルティエなどさまざまな腕時計を身に着けていたが、なかでも心をつかんで離さなかったのが、1972年に発表されたピアジェの「ブラック タイ」だ。

アヴァンギャルドなこのタイムピースは、アーティストや思想家、クリエイターたちのためのウォッチであり、ピアジェの大胆なビジョンに常にインスピレーションを与えてきたジェットセットの精神が色濃く反映されている。ウォーホル自身は7本のピアジェウォッチを所有していたというが、クォーツムーブメント「ベータ21」を搭載したイエローゴールドの「ブラック タイ」以上に、ウォーホルの名前と強く結びつき、記憶に残るタイムピースはないだろう(ちなみにウォーホル所有の7本のうち4本は、現在ピアジェのプライベートコレクションに保管されている)。

1973年にウォーホルを魅了した「ブラック タイ」。

「ブラック タイ」は1977年まで限定発売されたのちに、同メゾンのラインナップから姿を消すこととなるが、「エクストリームリー・ピアジェ」の一環として、2014年に復刻版が発表された。そして今回、「アンディ・ウォーホル ウォッチ」に名を変えて再び世に送り出されることとなった。

20世紀を代表するポップアーティストの名前を冠するタイムピースが発表されるに至った背景には、1979年から始まったウォーホルと、ピアジェ家4代目のイヴ・ピアジェの交友関係がある。

アメリカにおけるピアジェの総代理店を務めるジェリー・グリーンバーグを介してピアジェと親交を深めることとなったウォーホルは、著名な芸術家や映画スターが名を連ねるピアジェ・ソサエティの正会員に。その後、イヴ・ピアジェとウォーホルは、ニューヨークやフロリダのパームビーチで開催されるイベントにともに出席し、セレブリティが毎晩訪れた伝説的なディスコ、スタジオ54やシェ・レジーヌで長い夜を過ごしたという。

イヴ・ピアジェ(写真左)とアンディ・ウォーホル(写真右)。

そんな2人の関係性をもとに、アンディ・ウォーホル美術財団と協議を重ねた結果、「ブラック タイ」は「アンディ・ウォーホル ウォッチ」として生まれ変わる。そして、このパートナーシップを祝う最初のウォッチとして発表されるのが、クル・ド・パリ仕上げの18Kホワイトゴールドのケースをまとい、文字盤には創造や知恵、変革といった石言葉をもつメテオライトがはめ込まれた、「アンディ・ウォーホル クル・ド・パリ ウォッチ」だ。1970年代にウォーホルが着用した大胆なデザインを再解釈したこのメンズウォッチのケースは、45mmとややスリム。その上にはドーフィン針と洗練されたインデックスが備わっているほか、シグネチャーのゴドロン装飾があしらわれており、ケース内部にはピアジェ独自の自動巻きムーブメント501P1が搭載されている。ウォーホルとピアジェが築いてきた歴史に現代的な魅力が兼ね備わったこのタイムピースは994万4000円で販売される予定だ。

問い合わせ先
ピアジェ コンタクトセンター:0120-73-1874