プッシー・ライオット5人に最大13年の懲役刑。「意見を述べただけで重すぎる罰」と反論

ロシアの反体制パフォーマンス集団プッシー・ライオットのメンバー5人が、モスクワの裁判所によって欠席裁判で8〜13年の実刑判決を言い渡された。2022年にYouTubeで公開した反戦動画が「虚偽情報の流布」にあたるとして訴追されていた。

ニューヨークで開催されたデモに参加するプッシー・ライオットのメンバー、マリア・アリョーヒナ(左から3人目)。Photo: Misha Friedman/Getty Images
ニューヨークで開催されたデモに参加するプッシー・ライオットのメンバー、マリア・アリョーヒナ(左から3人目)。Photo: Misha Friedman/Getty Images

モスクワの裁判所は、欠席裁判でパンクアート集団プッシー・ライオットのメンバー5人に懲役8〜13年を言い渡した。 「ロシア軍の配備に関する虚偽情報を故意に流布した」とされ、マリア(マーシャ)・アレヒナ、オルガ・ボリソワ、ディアナ・ブルコット、アリーナ・ペトロワ、タソ・プレトナーが対象となった。

裁判の主な争点となったのは、2022年12月にYouTubeに投稿された動画「Mama, Don’t Watch TV (Anti-War Song)」だ。「マリウポリの咆哮」という言葉で始まるこの映像は、ロシアによるマリウポリの破壊と違法併合を批判する内容だった。また、侵攻初期に虐殺が起きたキーウ郊外のブチャにも触れ、西側諸国の共謀をも糾弾している。メンバーの一人であるブルコットは、下された判決に対してこう述べた。

「私は発言した言葉を撤回するつもりはありません。ロシアでは、性犯罪者や殺人犯が3〜4年の刑期を受ける一方で、活動家たちは意見を述べただけで途方もない刑期を科されてしまう。これは矛盾していないでしょうか」

国連人権高等弁務官事務所が2025年6月に発表した報告書によると、2022年2月以降に殺害された民間人は少なくとも1万3300人、負傷者は約3万1700人にのぼる。一方、ヒューマン・ライツ・ウォッチはマリウポリだけで1万284人が犠牲になったと推定している。ただし、現在も続く占領と壊滅的な破壊のため、正確な死者数を把握することはほとんど不可能とされる。

マリウポリに対する攻撃は文化施設にも及んでいる。ロシア軍は、クインジ美術館をはじめとする3つの地元美術館から2000点以上の美術品を略奪したと、マリウポリ市議会が2022年に発表している。(翻訳:編集部)

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