ホイットニー美術館旧館に移転のサザビーズ、旧社屋をアイビーリーグ校に売却。不動産再編は最終段階に
サザビーズは1980年から使用してきたニューヨーク本社ビルをワイル・コーネル医科大学に売却した。同社は建物の一部を借り戻しつつ、11月からはマルセル・ブロイヤー設計の旧ホイットニー美術館を新本社とする。

サザビーズはニューヨーク本社として1980年から使用してきたアッパー・イーストサイドの建物を、ワイル・コーネル医科大学に売却したと発表した。
サザビーズは2023年にマルセル・ブロイヤー設計のホイットニー美術館旧館を取得しており、ここを新本社とする移転計画を2025年に完了すると発表していた。これに広さおよそ2万2300平方メートルに及ぶロングアイランドシティの新施設ガントリー・ポイントを含め、同社の不動産再編が最終段階に入ったことを示している。
サザビーズのCEOチャールズ・スチュワートは今回の売却について、「ニューヨークにおける不動産再編を完了させる自然な流れ」と述べた。また、サザビーズがアッパー・イーストサイドの現本社ビルの7〜10階を長期リース契約で借り戻し、スタッフへの混乱を最小限に抑えると説明。ホイットニー美術館旧館とガントリー・ポイントを合わせることで、従来より広いオフィスを確保できると語った。また売却益は負債削減と中核事業に充てられるという。
サザビーズは2023年にワイル・コーネル医科大学とリース契約を結んでおり、同校はビルの一部を研究施設として利用する予定だ。連邦政府の資金凍結で研究プログラムの一部に遅れが生じているものの、ワイル・コーネル医科大学は「アッパー・イーストサイドでの開発計画は継続している」と今夏語っている。
サザビーズは2003年に不正な価格操作が明るみに出て生じた負債を返済するために本社ビルを売却したが、2009年に3億7000万ドル(現在の為替で約546億円)で買い戻した。その後2019年、通信業界で財を築いたパトリック・ドラヒが同社を買収し、建物の所有権はドラヒの持株会社に移された。2023年後半には、アッパー・イーストサイドのスペースの半分をワイル・コーネルに明け渡す計画も発表しており、これが実現されるかたちだ。
サザビーズは、11月8日に本社をマンハッタンの旧ホイットニー美術館に移転し、こけら落としとして同社が「ブロックバスター」と呼ぶ近現代美術展を開催する。プリツカー賞受賞建築事務所ヘルツォーク&ド・ムーロンがPBDW Architectsと協働で改修したこの空間には、新たに構想されたオークション会場や無料で一般公開されるギャラリー、そして新しい高級レストランが入る予定だ。スチュワートによれば、アッパー・イーストサイドのビルでは11月中旬まで展覧会が続き、移行期間中に短い重複期間が生まれる。(翻訳:編集部)
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