ピカソの絵画、列車輸送中に姿を消す。目的地目前で一晩停車、不可解な空白時間に何が起きた?

パブロ・ピカソ(1881-1973)の絵画《ギターのある静物》(1919)が、展覧会出品のためにスペイン・マドリードからグラナダへの輸送途中に行方不明となる事件が起こった。

パブロ・ピカソ。Photo: George Stroud/Daily Express/Hulton Archive/Getty Images

10月2日、スペイン・グラナダで開催する展覧会のためにマドリードから輸送中の美術品57点のうち、パブロ・ピカソの絵画1点が行方不明となった。

問題の絵画は、1919年制作の《ギターのある静物》だ。エル・パイス紙によると、同作はカハ・グラナダ文化センターで10月9日から開催されている「静物画ー不活性なものの永遠性」展(2026年1月11日まで)の目玉作品として、ある個人コレクションから借り受けており、60万ユーロ(約1億円)の保険がかけられていた。警察によると、同作を含む57点は10月2日に列車でマドリードを出発したが、目的地まであと20キロの地点で一晩停車したという。マドリードとグラナダ間の距離は約350キロ、列車の所要時間はおよそ4時間程度であることを考えると、不自然だ。輸送中は、2人が交代で監視していたという。

翌日、グラナダ文化センターに作品群が到着し、6日の朝に施設の職員が確認したところ、《ギターのある静物》がないことが発覚した。保管庫には監視カメラが付けられていたが、展覧会のマネージャーによれば、「全ての梱包に適切な番号が付けられていなかったため、開梱せずに徹底的な確認を行うことができなかった」という。

この事件を受けて、グラナダ文化財団は声明で、「我々も捜査に協力する態勢を整えており、事件が適切に解決されることを信じています」とコメントした。だが、現在捜査を担うグラナダの警察によると、事件発生から2週間以上経っているが作品の所在はまだ分かっておらず、容疑者も見つかっていない。(翻訳:編集部)

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