エド・ルシェ代表作《メイド・イン・カリフォルニア》がチョコレートに。300個限定、1個4万5000円

アメリカ現代美術の巨匠エド・ルシェが、ロサンゼルスのショコラティエとコラボレーションしたチョコレート「メイド・イン・カリフォルニア」を12月初旬に販売する。300個限定で値段は1個295ドル(約4万5000円)。

12月初旬に販売することが発表された、エド・ルシェとandSonsのコラボチョコレート「メイド・イン・カリフォルニア」。Photo: Courtesy andSons Chocolatiers and Ed Ruscha

アメリカカリフォルニア州在住のアーティスト、エド・ルシェが、ロサンゼルス・ビバリーヒルズを拠点とするショコラティエ「andSons」とコラボレーションしたチョコレートを数量限定販売する。

ルシェとチョコレートの組み合わせは珍しいように思えるかもしれないが、彼は1970年に、チョコレートを素材にしたインスタレーション作品《チョコレート・ルーム》を発表している。第35回ヴェネツィア・ビエンナーレのアメリカ館のために制作された同作は、ネスレ社のチョコレート・ペーストで印刷された360枚の用紙を部屋の壁一面に貼り詰めたもので、空間はチョコレートの香りで満たされる。作中にはルシェの特徴である「テキスト」は登場せず、チョコという素材自体が「言葉」として存在感を放つ異色の作品となっている。

それにしても、なぜチョコレートだったのか。ルシェはニューヨーク・タイムズ紙で、1970年当時の制作をこう振り返った。

「私はいつも通りの絵画を制作することに少し飽きていました。それで、型にはまらない素材を使おうと思ったのです」

《チョコレート・ルーム》は過去何回か制作されてきたが、最近では2023年にニューヨーク近代美術館(MoMA)、その翌年にロサンゼルス郡立美術館へと巡回したルシェの大規模回顧展「エド・ルシェ / ナウ・ゼン」で再制作された。その際には、初期から印刷を担ってきたサンバレーの印刷工房、ラ・パロマ・ファイン・アーツが、1911年にベルギーで創業した老舗カレボー社のダークチョコレートを「顔料」として使用したという。

エド・ルシェとandSonsのコラボチョコレート「メイド・イン・カリフォルニア」。Photo: Courtesy andSons Chocolatiers and Ed Ruscha
エド・ルシェとandSonsのコラボチョコレート「メイド・イン・カリフォルニア」。Photo: Courtesy andSons Chocolatiers and Ed Ruscha

今回のandSonsとのコラボレーションチョコ「メイド・イン・カリフォルニア」は、1971年に発表された、ルシェの代名詞的なリトグラフ作品《メイド・イン・カリフォルニア》にちなんで作られたもので、全てがカリフォルニア尽くしだ。板状のチョコの表面には、アメリカ屈指の農業地帯であるカリフォルニア州セントラル・バレーの山脈が彫られており、ナパバレーで焙煎されたペルー産ダークチョコレート(カカオ分73%)には、サンフランシスコ北部の入り江であるトマレス・ベイ産の海塩と、ソノマ郡ペタルーマ産のブラッドオレンジ・オリーブオイルが加えられた。チョコの箱は二重構造で、布張りの外箱には、ルシェの《メイド・イン・カリフォルニア》(1971)が印刷されている。

Wallpaper*によると、ルシェの作品を見て育ったというandSonsのショコラティエ、マーク・コヴィッツは、このコラボを2つ返事で快諾。andSonsが家族経営企業であるということに立脚し、地元の独立系企業と協力しながら、この土地ならではのチョコレートを作り上げた。コヴィッツはWallpaper*に、「ルシェは私たちの時代の偉大な芸術家のひとりであり、彼の代表作に遊び心をもって応答できるこの機会を逃すわけにはいきませんでした」と語った。

チョコレート「メイド・イン・カリフォルニア」は300個限定で、1個295ドル(約4万5500円)。2025年12月初旬からandSonsの店頭で販売されるが、同店のHPからアメリカとカナダへの配送も受け付けるという。(翻訳:編集部)

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