2万円弱で「ピカソ作品が当たる」チャリティ抽選会が開催。評価額約2億円、ネットから参加可能
フランスのアルツハイマー研究財団は、100ユーロ(約1万8000円)の抽選券を購入した参加者の中から1人に、100万ユーロ(約1億8000万円)相当のパブロ・ピカソ《女性の頭部(Tête de Femme)》(1941)を授与するチャリティ抽選会を実施すると発表した。抽選券はオンライン販売のため、世界中から参加が可能だ。
フランスのアルツハイマー研究財団(Fondation Recherche Alzheimer)は、100ユーロ(約1万8000円)の抽選券を購入した参加者の中から1人にパブロ・ピカソ《女性の頭部(Tête de Femme)》(1941)を授与するチャリティ抽選会を実施すると発表した。賞品となる作品の評価額は100万ユーロ(約1億8000万円)にのぼる。
今回の抽選会は、同財団の研究支援のために総額1200万ユーロ(約22億円)の資金調達を目的としている。抽選券はオンラインサイト「1picasso100euros」で100ユーロ(116ドル)にて販売され、発行枚数は12万枚限定。収益のうち100万ユーロは作品を提供するオペラ・ギャラリーに支払われる。なお、収益が100万ユーロに達しなかった場合、購入者には払い戻しが行われるという。
「ピカソ作品が当たるチャリティ抽選会」は、ピカソ家と親交の深いフランスのテレビプロデューサー、ペリ・コシャンの発案によりこれまで2度開催されている。コシャンは、母親が主催していた募金活動をヒントに、選ばれた一部の支援者だけでなく、インターネットを通じて世界中の人々が参加できる仕組みを考案。2010年代には親しい関係を築いていたピカソ財団に企画を持ちかけ、全面的な協力を得ることに成功した。
抽選会のリリースによると、2023年に亡くなったピカソの息子クロード・ピカソはかつて、当時をこう振り返ったという。
「彼女から最初に提案を受けたとき、この慈善抽選のアイデアを直ちに受け入れました。それは独創的で、説得力があり、芸術を他者のために役立てる取り組みだったからです。抽選会では参加者の熱意に深く心を動かされました。この活動は、ピカソが生涯を通じて最も弱い立場にある人々へと捧げてきた姿勢を、さらに前進させるものにほかなりません」

第1回は2013年にユネスコ世界遺産ティールの保護を支援する国際協会のために実施され、総額500万ユーロ(現在の為替で約9億円)を調達。アメリカ・ペンシルベニア州に住む若い男性が、100万ドル(同・約1億5600万円)以上の価値を持つデッサンを獲得した。第2回は2020年にアフリカの水と衛生環境改善に取り組む国際NGO・CAREを支援するために行われ、こちらも500万ユーロを集めた。イタリアの会計士が、クリスマスプレゼントとして息子から贈られた1枚の抽選券によって1921年の静物画を手にしている。提供作品は、クリスティーズやサザビーズの常連として知られる世界的コレクター、デヴィッド・ナーマドの所蔵によるものだった。
今回の賞品となる《女性の頭部》は、紙にグワッシュで描かれた縦38センチの作品で、1999年にサザビーズ・ロンドンで予想落札価格をわずかに上回る10万2700ポンド(現在の為替で約2140万円)で落札された。現在はニューヨーク、ロンドン、パリ、ソウル、ドバイ、香港など世界14都市にギャラリーを構えるオペラ・ギャラリーが所有し、評価額は100万ユーロとされている。抽選は2026年4月14日、クリスティーズ・パリにて行われる予定だ。
2004年に医師ブルーノ・デュボワとオリヴィエ・ド・ラドゥセットによって設立されたアルツハイマー研究財団は、フランス国内で最大のアルツハイマー研究基金となり、これまで欧州全域の40以上の研究チームに約2900万ユーロ(約53億円)を助成してきた。今回の抽選会による収益は、病因の解明、新しい治療法の開発、患者と家族の生活の質向上などに充てられる。同財団によれば、現在世界には約3500万人のアルツハイマー病患者がおり、世界保健機関(WHO)は2050年までにその数が倍増する可能性を指摘している。(翻訳:編集部)
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