ハーバード大学の付属美術館が入場無料化を発表。ロックフェラー家の寄付により実現
6月23日、ハーバード大学は、付属美術館への入場を恒久的に無料にすることを発表。数年にわたる計画の中で、大口の寄付により実現した。
ハーバード大学は、マサチューセッツ州ボストン近郊のケンブリッジに本部を置く、1636年に開学したアメリカ最古の大学。キャンパス内にあるハーバード美術館には、古代ギリシャから第2次大戦後までの様々な所蔵品が展示されている。同館のコレクションの中でも特に目を引くのは、1960年代に同大学が依頼したマーク・ロスコの壁画シリーズ、ブルース・ナウマンのスタジオ資料、オランダ、フランドルの巨匠の膨大なドローイングコレクションだ。美術館は、2015年頃に大規模な改修を行っている。
ハーバード大学のローレンス・S・バコウ学長は、入場無料化についての声明で、「芸術はすべての人のためのものです。ハーバード美術館の無料開放により、キャンパスを訪れるすべての人が、同館の驚異的なコレクションを鑑賞し、その魅力に触れることができるようになります」と話している。
ほとんどの大学の付属美術館が入場無料の中で、ハーバード美術館は異例の存在だった。同大学の声明によると、無料化するために、高額なコレクションの維持費や、スタッフの給与のための資金の確保を数年間かけて行ってきたが、今回、ロックフェラー家第3代当主、デイヴィッド・ロックフェラー(1915-2017)の遺産からの寄付があり、ようやく実現したという。
ハーバード美術館のマーサ・テデスキ館長は地元メディアWBURの取材に対し、「私たちは無料化するとどうなるか、1年半ほどシュミレーションしてきました。入館のハードルを下げることで、同館はグレーターボストン(ボストン市とその周辺地域を含むニューイングランドの都市圏地域)のコミュニティに浸透し、地元の人々にここが自分たちのための場所だと感じてもらえるようになるでしょう。今後の変化が楽しみです」とコメントしている。(翻訳:編集部)
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