evalaがアルス・エレクトロニカ賞2025で冨田勲特別賞を日本人初受賞。ICCで受賞記念展も開催
音楽家・サウンドアーティストのevalaが「アルス・エレクトロニカ賞2025」で冨田勲特別賞を日本人として初めて受賞した。これを記念して、NTTインターコミュニケーション・センターでは8月8日から代表作が展示される。

音楽家、サウンド・アーティストのevalaが、メディアアートの国際コンペティション「アルス・エレクトロニカ賞2025」にて「冨田勲特別賞(Isao Tomita Special Prize)」を日本人として初めて受賞した。この受賞を記念し、evalaの代表作《大きな耳をもったキツネ》《Our Muse》が8月8日から9月15日まで、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]で再展示される。
今回evalaが受賞した「冨田勲特別賞」は、20世紀を代表する作曲家でシンセサイザー音楽の開拓者である冨田勲の功績を記念し、TOMITA information Hubとアルス・エレクトロニカが共同で授与する特別賞だ。
受賞作品となった《ebb tide》は、2024年12月からICCで開催された大型個展「evala 現われる場 消滅する像」で発表されたサウンド・インスタレーション。本作は約400平方メートルの真っ暗な展示室全体を使用したもので、鑑賞者は吸音材でできた波打つような形状の構造体の上に座ったり横たわったりしながら、音に没入できる。
審査員は、この作品について「聴く」というシンプルな行為がいかに変容的な体験になり得るかを示していると評価した。また、視覚要素を意図的に最小限に抑えた構造で、決まったリスニングスポットを設けず、始まりや終わりもない体験を提供することで、音楽の伝統的な定義に逆らう新たな感覚体験を創造したと称賛した。
evalaは2017年より「See by Your Ears」プロジェクトを主宰し、「耳で視る」という独自のコンセプトを掲げて活動している。無響室から広大な庭園、廃墟から公共空間まで、多様な場でのサウンド・インスタレーションを発表し、国際的に高い評価を得てきた。2020年には完全な暗闇の中で体験する音だけの映画『Sea、 See、 She – まだ見ぬ君へ』で第24回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞を受賞している。
今回の冨田勲特別賞の受賞を記念して、evalaがICC無響室のために制作したサウンド・インスタレーション・シリーズの《大きな耳をもったキツネ》(2013-14)と《Our Muse》(2017)が再展示される。これらの作品は、故郷である京都府北部でのフィールド・レコーディングや沖縄の御嶽で収録された音源をもとに、空間の残響と反射を擬似的に作り出したインスタレーションだ。
受賞記念展示 《大きな耳をもったキツネ》《Our Muse》
会期:2025年8月8日(金)〜9月15日(月・祝)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]無響室
時間:11:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
入場:一般・学生500円
休館日:8月12日(火)、18日(月)25日(月)、9月1日(月)、8日(月)