「世界最古の毒矢」を南アフリカで発見。6万年前の矢じりに植物性毒の残留物を確認

南アフリカで出土した6万年前の矢じりから植物性の毒が検出された。これまでに知られていた毒矢は6700年前のもので、それより大幅に古い時代から人類が毒を用いた狩猟をしていたことを物語っている。

毒が塗られていた5つの矢じりの両面を拡大した画像(中央の白と黒のラインが全体で5ミリ)。Photo: Isaksson et al./Science Advances (2025)

南アフリカスウェーデンの研究者が、南アフリカで発見された6万年前の矢じりに植物由来の毒であるアルカロイド(窒素を含む天然有機化合物)の痕跡があることを確認した。1月7日にストックホルム大学が学術誌の「Science Advances(サイエンス・アドバンセス)」で、その研究成果を発表している。

今回の発見は、毒を用いた狩猟用武器の使用を示す直接的証拠としては世界最古。それ以前に知られていた最古の毒矢は、約6700年前のものとされる。

石英でできた矢じりは、南アフリカのクワズール・ナタール州にある遺跡、ウムラトゥザナ・ロック・シェルターで出土し、年代測定で更新世にさかのぼることが分かった。また、矢じりの残留物の化学構造を分析した結果、ギフボルと呼ばれる球根植物(ブーファン・ディスティカ)由来の毒が確認された。この植物は現在も、同地域の伝統的な狩猟に使用されているという。

研究論文の共著者であるヨハネスブルグ大学古生物研究所の研究員、マーリーズ・ロンバードは、新たな発見について次のように説明している。

「この発見は、アフリカで誕生した我われの祖先が従来考えられていたよりもはるかに早い時期に弓矢を発明していただけでなく、狩猟効率を高めるために、自然界の化学的性質を活用する方法を理解していたことを示しています」

同様の毒は1700年代後半に南アフリカで採取された矢じりからも発見されており、先史時代から有史時代へと受け継がれた知識の連続性を示している。さらに、ストックホルム大学考古科学教授で主任研究者のスヴェン・イサクソンは、使用されていた毒が即死性ではなかったことから、狩猟者が傷を負った動物を追跡し、疲弊させるのに必要な時間を短縮することに役立ったと考えている。

「この矢じりをあの植物に突き刺せば、獲物の肉を手にするまでの時間が短縮されるだろう──そう予測するには、一時的に記憶した情報から必要な情報を整理し、不要な情報を削除する発達した作業記憶が必要です」

ニューヨーク・タイムズ紙の取材に対しイサクソンがこう語ったように、今回の発見は、古代の狩猟民の思考力が非常に洗練されていたことを示している。(翻訳:石井佳子)

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