GO FOR KOGEIがヴェネチア・ビエンナーレ会期中に展覧会──沖潤子、桑田卓郎、三嶋りつ惠ら10人が「つくること」を問い直す
工芸と現代美術の境界を横断する芸術祭「GO FOR KOGEI」が、ヴェネチア・ビエンナーレ会期中の5月9日から11月22日まで、イタリア・ヴェネチアで展覧会「身体と物質のエスノグラフィー──加速社会における遅さと深さ」を開催する。出品作家には、沖潤子、桑田卓郎、三嶋りつ惠、コムロタカヒロ、牟田陽日、桑田卓郎ら10人が名を連ねる。

2020年から北陸で開催されてきた芸術祭「GO FOR KOGEI」を主催する認定NPO法人趣都金澤は、第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(2026年5月9日〜11月22日)の開催にあわせ、展覧会「身体と物質のエスノグラフィー──加速社会における遅さと深さ」を開催する。会期は5月9日から11月22日まで、会場はヴェネチアのパラッツォ・ピザーニ・サンタ・マリーナ。
工芸とアートの境界を横断する表現を追求してきた「GO FOR KOGEI」は、2024年以降、その活動を国際的な文脈へと拡張してきた。2025年にはロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)でトークセッションを実施し、さらに台湾の台南市美術館と共催で展覧会「皮膚と内臓―自己、世界、時間」(2025–26)を開催。こうした取り組みを通じて、「工芸」を単なる技法やジャンルとしてではなく、現代アートの文脈における思考と実践の方法として再定義し、新たな視点を提示してきた。
ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の会期中に開催される本展「身体と物質のエスノグラフィー──加速社会における遅さと深さ」も、そうした国際的な活動の延長線上に位置づけられるものであり、加速する現代社会において「つくること」が持ちうる時間性や身体的知覚を、あらためて問い直す試みとなる。
キュレーターはGO FOR KOGEIアーティスティック・ディレクターの秋元雄史。展示構成は、安藤忠雄のもとで経験を積み、メトロポリタン美術館やディブ・バンコクなどで美術館建築や展示デザインを手がけてきた、ロサンゼルスおよびニューヨークを拠点とする建築家クラパット・ヤントラサスト(Kulapat Yantrasast)が担当する。
本展では、陶、ガラス、漆、繊維、刺繍、木彫といった多様な素材を扱いながら、それぞれ異なる「遅さ」や「深さ」を作品に刻み込む10人が選出された。作家は、沖潤子、川井雄仁、桑田卓郎、コムロタカヒロ、シゲ・フジシロ、舘鼻則孝、中田真裕、三嶋りつ惠、牟田陽日、綿結。
展示はパラッツォの建築的特性を生かして構成される。入口にあたるグランドフロアでは、ソフビ玩具やSF的イメージ、アメリカンコミックスといった視覚文化を起点に、木彫彫刻と量産フィギュアを横断する独自の彫刻表現を展開してきたコムロタカヒロの作品を紹介。高低差のある足場の上に、コムロの世界観が立体的に展開される。
2階のかつて居住空間として使われていた部屋には、刺繍という反復的な手仕事を通じて、布に生活の時間と身体の記憶を縫い込む沖潤子の作品が展示される。長く家庭の内部に属するとみなされ、可視化されにくかった女性の労働の時間を、作品として静かに立ち上げる試みだ。
同じく2階では、ガラスビーズと安全ピンという装身具や交易品としての歴史をもつ素材を用い、膨大な手作業の集積によって日常の風景を幻想的に変容させるシゲ・フジシロの作品を展示。バスケットコートを想起させるモチーフが、運河に面した窓から差し込む光や天井のシャンデリア、室内に残る家具と呼応するかたちで配置される。また、ガラス産業の中心地として長い歴史をもつヴェネチア・ムラーノ島の熟練職人との協働を通じ、無色透明のガラスのみを用いた彫刻作品を制作してきた三嶋りつ惠は、35点からなる作品群を2階に展示する。
身体と物質のエスノグラフィー──加速社会における遅さと深さ
会期:5月9日(土)〜11月22日(日)
場所:パラッツォ・ピザーニ・サンタ・マリーナ(イタリア・ヴェネチア市カンナレージョ地区6104)
時間:11:00~19:00(5⽉9⽇~9⽉30⽇)、10:00~18:00(10⽉1⽇~11⽉22⽇)
休館日:火曜
入場料:無料























