ルーブル美術館大改修の国際コンペ、SANAAや藤本壮介を含む最終選考が突然の無期延期に

ルーブル美術館の大規模改修に向けて開催されている国際建築コンペの最終審査が、無期延期されたことが明らかになった。昨秋発表されたファイナリスト5組には、日本のSANAA藤本壮介も名を連ねている。

ルーブル美術館の《モナリザ》前には人混みが絶えない。Photo: Getty Images

ルーブル美術館の大規模改修国際建築コンペティションは昨年6月に開始され、10月にファイナリスト5組が発表された。最終審査は2月11日に行われるはずだったが、6日付の仏ル・フィガロ紙は、そのための会合が無期延期されたと報じている。

「ルーブル・ヌーヴェル・ルネサンス計画」と名付けられた大改修プロジェクトは、2025年1月にフランスのエマニュエル・マクロン大統領が発表したもので、年間入場者数が約900万人にのぼる同館の混雑緩和を主な目的としている。完成予定は2031年とされていた。

計画には新たな美術館入口の設置や老朽化したインフラの更新などが盛り込まれているが、最も注目されたのは約3000平方メートルの《モナリザ》専用展示室を新設することだろう。総費用は7億ユーロから8億ユーロ(最近の為替レートで約1300億〜1500億円、以下同)と見られる。

1月にアート・ニュースペーパー紙が伝えたところによると、同館の2026年度予算では改修の予備調査に1億ユーロ(約185億円)が計上されている。それに対し、維持管理費は1500万ユーロ(約28億円)に止まり、そのうち収蔵品保護のための安全対策に充てられているのは180万ユーロ(約3億3000万円)だという。

ルーブル美術館では昨年12月中旬以来、労働環境改善などを求めるストライキで臨時休館や一部展示室の閉鎖が起きている。1月にも同館の3つの労働組合に所属する350人の職員が、大改修計画に異議を唱えるストライキを実施。《モナリザ》を専用展示室に移すよりも、遅れに遅れている技術面での更新や建物の維持管理を優先すべきだと主張している。

一方、国際コンペ最終選考の無期延期が伝えられたのは審査予定日のわずか1週間前。急な計画変更は審査委員長であるイル・ド・フランス県(パリ首都圏)知事のマルク・ギヨームの名で出されているが、新たな日程は明らかになっていない。

21人の審査員によって選ばれたファイナリストは、アマンダ・レヴェット・アーキテクツ、アーキテクチャー・スタジオとディラー・スコフィディオ+レンフロの共同チーム、デュブイソン・アーキテクチャーとSANAAの共同チーム、ソウ・フジモト・アトリエ・パリ/藤本壮介建築設計事務所、ステュディオス・アーキテクチャーとセルドルフ・アーキテクツの共同チームの5組。

最終審査に残ったアーキテクチャー・スタジオのパートナー、ガスパール・ジョリーはル・フィガロ紙の取材に対し、ルーブル美術館が5つの提案全ての建築的・技術的分析を完了するには時間が足りなかったのだろうと答えている。

今回のコンペ結果発表延期は、この1年トラブル続きだったルーブル美術館に生じた新たな問題だ。昨年1月、ローランス・デカール館長からフランスの文化大臣宛てのメモがリークされ、美術館施設の老朽化による漏水や過度の混雑などの難題が発生していることが明らかになった。10月には1億200万ドル(約160億円)相当の宝飾品窃盗事件が起き、クリスマス前からは職員のストライキが何度も行われている。(翻訳:石井佳子)

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