スペインで「織物革命」の痕跡見つかる──3000年前の織機が示す高度な生産技術

スペインの研究チームは、同国南東部の遺跡で発見された約3000年前の木製織機の残骸を分析し、その構造と機能を明らかにした。焼失した集落に埋もれていたたこの織機は、青銅器時代の織物技術や素材の多様化を示す貴重な手がかりとなっている。

スペインのカベソ・レドンド遺跡。赤い点は、織機の残骸と織機用おもりが発見された場所を示している。Photo: Courtesy Ricardo E. Basso Rial et al.

スペイン・グラナダ大学のリカルド・E・バッソ・リアルとアリカンテ大学のガブリエル・ガルシア・アティエンサルを中心とする6人の研究チームは、2008年にスペイン南東部アリカンテ県のカベソ・レドンド遺跡で発見された青銅器時代の木製織機の残骸についての研究成果を3月16日にAntiquity誌に発表した。

織機の残骸は同遺跡の住宅群の近くで、焼け焦げた状態で繊維とともに発見された。調査の結果、この織機は木製の枠に上から縦糸を垂らし、その下端に粘土などで作られた「織機錘(おもり)」を取り付けて張力を保ちながら織る「重錘式織機」と呼ばれるものであることが判明した。こうした織機は先史時代のヨーロッパおよび地中海地域全体で広く用いられていた。木製であるため通常は長い年月のうちに分解され、織機錘(おもり)のみが見つかることが多い。だがこの織機は、紀元前1000年頃に集落を壊滅させるほどの大火災に見舞われた際、屋根が崩れ落ちて覆いかぶさったことで、現在まで形を留めて保存された。

また、この織機の織機錘(おもり)は一般的なものより軽量であることも分かった。これは火災が発生した当時、集落で生産されていた織物が羊毛のように軽く、より繊細な素材で作られていたことを示している。例えば、亜麻糸の織物を織る場合には、より重い織機錘が必要だった。

この調査結果について、バッソ・リアルはPhys.orgに次のように話している。

「この織機は単に亜麻糸などを用いた平織りの織物を生産するだけでなく、羊毛を用いたより密度が高く、技術的に複雑な織物、すなわち初期の綾織りを含む織物の生産に対応していたことを示唆しています。これはイベリア半島における青銅器時代の織物技術の理解において顕著な進展です」

平織りは新石器時代から青銅器時代にかけて最も一般的な織り方だった。これに対し、綾織りが広く普及するのは紀元前1000年紀の初頭になってからだ。さらにAntiquity誌に掲載された論文によれば、カベソ・レドンド遺跡のさまざまな住居から200点以上の織機錘が発見されており、大部分は軽量なものだった。このことは、特に紀元前1600年以降において「集中的な織物生産」が行われていたことを示しており、同遺跡が「織物革命」、すなわち毛織物をはじめとする織物技術の多様化において重要な拠点であった可能性を示しているという。

今回の報告の中心となる重錘式織機が見つかった周辺からは、石製のベンチや陶器、火打石、金属製の道具、骨製品なども見つかっている。研究者たちは、織機やこれらの遺物を手がかりに、この時代における織物生産の発展過程の解明がさらに進むと期待している。(翻訳:編集部)

from ARTnews

あわせて読みたい