今週末に見たいアートイベントTOP5:空山基50年の創作を回顧、片山真理が新シリーズを日本初公開
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

1. ASK01 滋賀県立美術館 湖北における現代美術展「キュンチョメ 100万年の子守唄」(滋賀県高島市大溝地域の3つの家)
琵琶湖から広がる、生命へのまなざし
アーティストのホンマエリとナブチによるユニット、キュンチョメの関西初個展。2011年の結成以来、映像を中心に社会問題や自然災害、環境と人間の関係をテーマに作品を発表してきた彼らは、東日本大震災以降の活動でも広く注目を集めてきた。2014年には第17回岡本太郎現代芸術賞を受賞し、国内外で評価を高めている。
本展のタイトル「100万年の子守唄」は、日本最古級の湖である琵琶湖と、その水とともに暮らしてきた滋賀県高島市大溝地区の歴史から着想を得たもの。キュンチョメは、琵琶湖の西岸にある水に囲まれた静かな町を歩くなかで、「ここに流れ着く水そのものが、あらゆる生命に向けて子守唄を歌っているように感じた」と語る。そして作家は、自分と同じ姿をしていない存在から愛を感じること、またそうした存在を愛することの大切さを、この土地の水の風景から見出している。琵琶湖西岸に位置する、3つの民家で行われる展示では、水の存在を印象的に扱った映像作品や、自然と人間の関係を見つめ直す写真作品など計8点を紹介。《あいまいな地球に花束を》《あなたの傷が癒えますように》《Ghost in the Ocean》《ライフ・イズ・ビューティフル》の新作4点は初公開となる。
ASK01 滋賀県立美術館 湖北における現代美術展「キュンチョメ 100万年の子守唄」
会期:2月21日(土)〜4月19日(日)
場所:滋賀県高島市大溝地域の3つの家(①旧福井盛弘堂:高島市勝野1340、②中田家住宅旧米蔵:高島市勝野1350、③林家住宅旧米蔵:高島市勝野1256)
時間:10:30 〜16:30
休館日: 月〜木(2月23日を除く)
2. 「美術館の春まつり」(東京国立近代美術館)
桜の名所で味わう日本画の春
皇居や北の丸公園、千鳥ヶ淵など都内屈指の桜の名所に囲まれた同館が毎年開花時期にあわせて開催する。見どころは、重要文化財に指定されている川合玉堂《行く春》(1916)の特別公開だ。長瀞の川面に散る桜を描いたこの名作は、毎年この季節にだけ公開されることで知られている。展示室には、跡見玉枝《桜花図巻》や菊池芳文《小雨ふる吉野》、船田玉樹《花の夕》など、桜をテーマにした日本画の名品も並ぶ。春という季節を題材にした多彩な表現を通して、日本画における自然観や風景表現の魅力をあらためて味わうことができるだろう。
また、同時開催される所蔵作品展「MOMATコレクション」では、同館の約1万4000点のコレクションから厳選された約200点が12室にわたって展示される。日英のガイドツアーなどのプログラムも予定されており、前庭には花見弁当を出店するキッチンカーも登場する。花見の散策とあわせて訪れたい。
「美術館の春まつり」
会期:3月13日(金)〜4月12日(日)
場所:東京国立近代美術館(東京都千代田区北の丸公園3-1)
時間:10:00〜17:00(金土は20:00まで)
休館日:月曜日(3月30日を除く)
3. 特別展「中西夏之 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」(国立国際美術館)
中西夏之の思考の軌跡
戦後日本の前衛美術を代表する画家の一人、中西夏之(1935–2016)の回顧展。東京藝術大学在学中から制作を始め、1960年代には高松次郎や赤瀬川原平とともに前衛美術グループ「ハイレッド・センター」を結成。都市空間や社会の制度に介入する実験的な活動によって、日本の前衛芸術の重要な潮流を形づくった。その後、中西は舞踏家・土方巽との出会いを契機に再び絵画へと向かい、1970年代以降は絵画という行為そのものを問い直す制作を展開する。彼は自身の作品を「緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」と表現し、絵画を鑑賞する時間や身体の感覚にまで思考を広げていった。
中西の没後10年の節目に開催される本展では、1960年代から晩年までの制作を4章構成で総覧する。長い柄の筆を用いて遠くから描かれた色彩豊かな絵画などを通じて、「光・時・色」という概念をめぐる思考の展開をたどる。
特別展「中西夏之 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」
会期:3月14日(土)〜6月14日(日)
場所:国立国際美術館 地下3階展示室(大阪市北区中之島4-2-55)
時間:10:00〜17:00(金曜は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜日(5月4日を除く)5月7日
4. SORAYAMA 光・透明・反射 ーTOKYOー(CREATIVE MUSEUM TOKYO)
空山基のメタリックな幻想世界
上海で開催され話題を集めた、空山基の過去最大規模となる回顧展。1970年代後半から現在まで、金属の質感を極限まで描写するハイパーリアリズムによって独自の世界を築いてきた空山は、「セクシーロボット」シリーズをはじめとする作品で国際的な人気を獲得してきた。空山の作品の核心にあるのは、「光」「透明」「反射」という三つの要素だ。光を描くためには空気を、空気を描くためには透明を表現する必要があるという考えのもと、彼は金属表面に映り込む光や周囲の空間を緻密に描き出してきた。人物や動物、恐竜などをロボットとして描いた作品は、生物の身体性を超えた未来のイメージを想像させる。
本展では1970年代から現在までの代表作を通して、空山の表現の進化をたどる。テクノロジーと身体、人間と人工知能の関係といった現代的テーマを想起させる作品群は、視覚的な魅力と同時に未来への想像力を刺激するものとなっている。
SORAYAMA 光・透明・反射 ーTOKYOー
会期:3月14日(土)〜5月31日(日)
場所:CREATIVE MUSEUM TOKYO(東京都中央区京橋1-7-1 TODA BUILDING 6F)
時間:10:00~18:00(金土、4月28日~5月6日、5月31日は20:00まで)
休館日:無休
5. 片山真理「tree of life」(Yutaka Kikutake Gallery)
鏡の空間に広がるセルフポートレート
群馬を拠点に活動するアーティスト、片山真理の新作個展。手縫いの布オブジェやセルフポートレート写真を軸に、身体をめぐる社会的視線や規範、ケアやアイデンティティの問題を個人的経験と社会的文脈の双方から問い直してきた片山は、近年国際的にも評価を高めている。近年は森アートアワードを受賞したほか、2025年にはロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館によるコミッションワークを手がけ、「tree of life」シリーズが同館に収蔵された。
本展では、その新作シリーズ「tree of life」から10点を日本で初公開する。鏡張りの空間のなかで片山自身が被写体となり、手縫いの布オブジェとともに撮影された写真作品は、鏡面に反射した身体像が増殖するように広がり、現実と虚像、内と外、自己と他者の境界を曖昧にしていく。片山が繰り返し問い続けてきた「身体は誰のものか」という問題が、空間全体に拡張されたイメージとして立ち上がる。
撮影はすべてセルフシャッターによって行われ、中判フィルムカメラを用い、多重露光やデジタル加工を使わず一度のシャッターで像を定着させる。画面に現れる形は木の枝や根、血管、あるいは川の流れのようにも見え、生命の循環やネットワークを思わせる。針と糸による手仕事と同様に身体的な制作行為に根ざした方法を通して、片山は自身の身体のイメージを、より広い社会や世界との関係へと開いていく。
片山真理「tree of life」
会期:3月19日(木)〜5月16日(土)
場所:Yutaka Kikutake Gallery(東京都港区六本木6丁目6-9)
時間:12:00〜19:00
休館日:日月祝
































