わずか3分でルノワール、セザンヌ、マティスの名画消失──イタリアで14億円規模の美術品強奪

イタリア警察は3月29日、北部パルマ近郊にあるマニャーニ・ロッカ財団が運営する美術館「ヴィラ・デイ・カポラヴォーリ(傑作の館)」からルノワールセザンヌマティスの絵画3点が盗まれたと発表した。被害総額は900万ユーロ(約14億円)とされる。

ポール・セザンヌ《サクランボのある静物》(1890頃)Photo: Wikimedia commons

3月22日から23日にかけての夜、イタリア北部パルマ近郊にあるマニャーニ・ロッカ財団が運営する「ヴィラ・デイ・カポラヴォーリ(傑作の館)」に強盗が押し入り、絵画3点が盗まれたと、イタリア警察が29日に発表した。

BBCによると、覆面の4人組は同館の正面玄関をこじ開けて侵入し、1階のフランス室からピエール=オーギュスト・ルノワールの《魚(Les Poissons)》(1917)、ポール・セザンヌの《サクランボのある静物(Still Life with Cherries)》(1890頃)、アンリ・マティスの《テラスのオダリスク(Odalisque on the Terrace)》(1922)の3点を手にした。犯人らはさらに盗み出そうとしたが、館内の警報装置が作動したため断念し、フェンスを乗り越えて逃走した。犯行にかかった時間はわずか3分だった。

ピエール=オーギュスト・ルノワール《魚》(1917)Photo: Wikimedia commons
マニャーニ・ロッカ財団「傑作の館」展示風景。2019年撮影。Photo: Wikimedia commons
マニャーニ・ロッカ財団外観。2024年撮影。Photo: Wikimedia commons

3点の総評価額は900万ユーロ(約14億円)。そのうち、ルノワールの《魚》だけで600万ユーロ(約9億6000万円)とされる。セザンヌの《サクランボのある静物》は水彩で描かれており、画家が晩年に取り組んだ技法が用いられている点で希少性が高いという。

財団は声明で、犯行グループについて「組織的かつ計画的」だったと指摘している。犯人は依然として特定されておらず、現在、イタリア国家憲兵隊カラビニエリとボローニャの文化財保護部隊が合同で捜査にあたっている。

マニャーニ・ロッカ財団は、作曲家であり美術コレクターでもあったルイジ・マニャーニの死後、1984年に設立された。彼の邸宅は現在、美術館「ヴィラ・デイ・カポラヴォーリ(傑作の館)」として公開されており、ルネサンスから20世紀に至る幅広いヨーロッパ美術の作品を見ることができる。

今回の事件は、近年のイタリアにおける美術品盗難の中でも最大規模とされる。昨年10月には、パリのルーブル美術館で白昼に高額な宝石が強奪される事件が発生しており、ヨーロッパの主要美術館におけるセキュリティ体制が改めて問われている。

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