フリーズ・ニューヨークが5月開催──美術館との連携でフェアは都市へ拡張
2026年のフリーズ・ニューヨークがあと1カ月あまりで開幕する。今回の開催では、複数の美術館・文化機関とのコラボレーションや新たな作品取得基金の設立が予定され、アートフェアの面的な広がりを目指している。その計画の概要をまとめた。

5月13日から17日まで、フリーズ・ニューヨーク2026が会場のザ・シェッドに65を超える出展者を集めて開催される。今年はホイットニー美術館、ディア芸術財団のほか、セントルイスのカウンターパブリック・トリエンナーレとタッグを組み、フェア会場の内外でさまざまなパフォーマンスやインスタレーションの発表が行われる予定だ。
中でも大きな注目を浴びているのが、フリーズと現在開催中のホイットニー・ビエンナーレとのコラボレーション。フェアではアーティストのジョナサン・ゴンザレスが、ビエンナーレのために制作を委託された6点のCプリントによる写真のインスタレーション《Body Configurations(ボディ・コンフィギュレーション)》(2023–25)をザ・シェッドの6階に展示する。
ゴンサレスはまた、フェア会期中の5月15日から17日に、ホイットニー美術館の屋外テラス(一般公開されていないエリアを含む)や近隣の空中庭園ハイラインで長時間のパフォーマンス作品《magic hour–golden time(マジックアワー–ゴールデンタイム)》(2026)を披露する。このイベントについてホイットニー・ビエンナーレの共同キュレーターであるドリュー・ソーヤーは、声明でこう述べている。
「現代のパフォーマンス・アート界における重要かつ魅力的な若き才能であるジョナサン・ゴンザレスは、建築や環境などの要素を取り入れた長時間パフォーマンスを制作しています。その新作を今回のビエンナーレで発表できることを、とりわけ嬉しく思います。彼の活動に通底する問題意識が、社会インフラや関係性といったビエンナーレが掲げるテーマと呼応するからです。フリーズ・ニューヨークと共同で発表するこの作品は、展示室の外へと作品を広げ、来場者と作品が交わる場を美術館のバルコニーに創り出します」
フリーズ・ニューヨーク2026では、コレクターのマイケル・シャーマンおよびシャーマン・ファミリー財団の支援により、フォーカス部門を対象とする作品収蔵基金も新設された。この基金では、5年間にわたって毎年5万ドル(約790万円)の助成が行われる。内訳は、作品2点に各2万ドル(約316万円)、そして購入された作品を制作したアーティストには各5000ドル(79万円)の自由に使える助成金が直接支給される計画だ。
初年度の2026年は、ボルチモア美術館とブルックリン美術館がそれぞれ1点の作品を収蔵品として受け取ることになる。ボルチモア美術館の理事も務めるシャーマンは、「私たちの願いは、アーティストと美術館との関係を構築し、新たな才能を継続的に支援していくことです」と声明で思いを語っている。

9月には、第3回のカウンターパブリック・トリエンナーレがセントルイスで開かれる。「コヨーテ・タイム」と題された今回は、北米先住民オグララ・ラコタ族のアーティスト、カイトによる特設インスタレーションとパフォーマンスが発表される。
一方、ディア芸術財団は、現在チェルシーの展示スペースで回顧展を開催中のコンセプチュアル・アーティスト、デイヴィッド・ラメラスによる一連の映像作品をフェア会場で展示する。《To Pour Milk into a Glass(グラスに牛乳を注ぐ)》(1972)と、1969年に制作が始まり現在も続いている《Time As Activity(活動としての時間)》を含む展示計画について、同財団の副プログラムディレクター、ウンベルト・モロは声明でこう説明している。
「ラメラスが場所と時間を非線形的かつ反復的なものとして捉えているように、フリーズでの映像作品展示は、ほんの数ブロック先にあるディア・チェルシーの回顧展との共振を生み、観客は近隣に広がるより大きな文化的エコシステムの中でラメラスのアートの実践に触れることができるでしょう」
一方、フリーズのアメリカ地域ディレクターであるクリスティン・メシエノは声明で次のように述べた。
「『フリーズ・ニューヨーク2026』の来場者は、展示室の壁を越えて街そのものへと広がる、さまざまなパフォーマンスやサイトスペシフィックな作品に出会うことになります。それらの作品は、身体、環境、そして時間の間の進化する関係について、観客に考察を促すものです」(翻訳:石井佳子)
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