今週末に見たいアートイベントTOP5:ピカソ作品をポール・スミスが再構成、エキソニモが可視化する「ランダム性」

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

中西夏之「眩しいことの研究」(SCAI THE BATHHOUSE)より、中西夏之「眩しいことの研究」(2026年)展示風景 撮影:表恒匡 協力:SCAI THE BATHHOUSE

1. マティルド・ドゥニーズ「TIME AND LIGHT」(ペロタン東京)

Caption: View of the exhibition "Time and Light" at Perrotin Tokyo. Photo by Osamu Sakamoto. Courtesy of the artist and Perrotin.
Caption: View of the exhibition "Time and Light" at Perrotin Tokyo. Photo by Osamu Sakamoto. Courtesy of the artist and Perrotin.
Caption: View of the exhibition "Time and Light" at Perrotin Tokyo. Photo by Osamu Sakamoto. Courtesy of the artist and Perrotin.

断片と記憶が循環する、絵画という場

1986年フランス・サルセル生まれ、現在はパリを拠点に活動するマティルド・ドゥニーズは、絵画、彫刻、インスタレーション、パフォーマンス、映像など、幅広いメディアを横断しながら作品を発表している。制作においては、街中で収集した廃材や、過去に自身が制作した作品の断片を切断・再構成する手法を用い、素材が持つ記憶や時間の蓄積、変化のプロセスを探究してきた。また、身体を用いた過激なパフォーマンスで知られるフェミニスト・アーティスト、キャロリー・シュニーマンらの実践にも影響を受け、絵画と同様に身体そのものを重要な表現媒体として扱っている。

日本初個展となる本展では、映画のセットや広告制作の現場で不要となった塗料を用いた新作「Contours」シリーズを発表する。ドゥニーズがこれまで展開してきた彫刻的、身体的な実践を踏まえながら、伝統的な絵画形式であるタブローにあらためて向き合う。素材の痕跡や複数の時間が交差する作品群を通して、絵画を完成されたイメージではなく、関係性が循環する場として提示する。

マティルド・ドゥニーズ「TIME AND LIGHT」
会期:3月24日(火)〜7月4日(土)
場所:ペロタン東京(東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1F)
時間:11:00〜19:00
休館日:日月


2. 遠藤文香「Kanoko」(POETIC SCAPE)

90年を越えて響き合う、小説と写真

1994年埼玉県生まれの写真家、遠藤文香は、自然や家畜動物をモチーフに、撮影という行為を通じて対象との距離や関係性を探究してきた。ストロボ光を用いた作品は、自然と人為、自己と他者といった境界に着目しながら、被写体との関係性を考察するものとして展開されている。「キヤノン写真新世紀2021」では、写真家のオノデラユキ選による佳作を受賞した。

本展は、写真集『Ayaka Endo: Kanoko』の刊行を記念して開催される。同書は、日本の小説と写真を一冊の中で拮抗させるシリーズの第6作として、岡本かの子の小説『鮨』(1939)に遠藤の写真を組み合わせ、編集・造本されたものだ。会場では、写真集に収録された作品を展示。約90年前の文学作品と現代写真が、書物と展示空間という異なる形式のなかでどのような関係を結ぶのかを探る。

遠藤文香「Kanoko」
会期:5月16日(土)〜6月28日(日)
場所:POETIC SCAPE(東京都目黒区中目黒4-4-10)
時間:13:00〜18:00
休館日:月火祝


3. 中西夏之「眩しいことの研究」(SCAI THE BATHHOUSE)

中西夏之「眩しいことの研究」(2026年)展示風景 撮影:表恒匡 協力:SCAI THE BATHHOUSE
中西夏之「眩しいことの研究」(2026年)展示風景 撮影:表恒匡 協力:SCAI THE BATHHOUSE
中西夏之「眩しいことの研究」(2026年)展示風景 撮影:表恒匡 協力:SCAI THE BATHHOUSE
中西夏之《全・面- 性 , 全開 直進 Ⅳ ー Double NB》1991、キャンバスに油彩、194 x 259 x 4 cm 撮影:宮島径 協力:SCAI THE BATHHOUSE

没後10年、初公開作を含む絵画と思考の軌跡

日本戦後美術を代表する作家の一人である中西夏之(1935-2016)の個展。1960年代には読売アンデパンダン展で発表を重ね、赤瀬川原平高松次郎とともに前衛芸術グループ「ハイレッド・センター」を結成。その後も絵画を軸としながら、舞踏家・土方巽や大野一雄との協働、美学校設立への参加、大学での後進への指導など、様々な活動を展開した。

没後10年を機に開催される本展では、美術評論家の南雄介をキュレーターに迎え、1960年代から晩年までの作品を紹介する。遺族の協力のもと、これまで公開されてこなかった習作も展示。「絵画とは眩しいことの研究である」という中西自身の言葉に示されるように、半世紀以上にわたり絵画という行為そのものを問い続けた制作の軌跡をたどる。

中西夏之「眩しいことの研究」
会期:5月29日(金)〜7月11日(土)
場所:SCAI THE BATHHOUSE(東京都台東区谷中6-1-23)
時間:12:00〜18:00
休館日:日月祝


4. エキソニモ『RandoMe』(WAITINGROOM)

exonemo, Hatch/et (Series 2), 2026, Hatchet, Acrylic and Sand on Wood panel,
Computer, Motor, Buzzer, LED display, Cables, Plastic parts, Electric parts, 255 ×
660 × 140 mm Each, Set of 6
©︎exonemo, courtesy of the artist and WAITINGROOM
exonemo, Find My SHIT (Installation version), 2026, Computer, Custom Keyboard,
NFT, HTML, Dimension variable
©︎exonemo, courtesy of the artist and WAITINGROOM
exonemo “RandoMe” (2026), Installation view
Photo by Shintaro Yamanaka (Qsyum!)
©exonemo, courtesy of the artist and WAITINGROOM
exonemo “RandoMe” (2026), Installation view
Photo by Shintaro Yamanaka (Qsyum!)
©exonemo, courtesy of the artist and WAITINGROOM

「ランダム性」が映し出す個人の輪郭

1996年に千房けん輔と赤岩やえによって結成されたアーティスト・デュオ、エキソニモ。インターネット黎明期から活動を続け、デジタルとアナログ、オンラインとオフライン、情報空間と物理空間といった境界を横断しながら、ネットワーク社会におけるコミュニケーションや身体、偶然性などをテーマに作品を発表してきた。2006年には世界的なメディアアート・フェスティバル「アルス・エレクトロニカ」のネット・ヴィジョン部門で大賞にあたるゴールデン・ニカ賞を受賞した。

約3年ぶりとなる同ギャラリーでの個展「RandoMe」では、「Random」「Me」、そして「知らない人」を意味するスラング「Rando」を組み合わせた造語をタイトルに掲げ、「ランダム性」に焦点を当てた新作インスタレーションを含む作品群を展示する。ランダムなパスコードへのアタックを繰り返し、解読した瞬間に斧で自身を破壊する装置《Hatch/et》や、人種の異なる8歳の子どもたちが自らの誕生日をランダムシード(乱数を作るためのスタート地点の番号)として生成したドットパターンを線で結んだ《Connected the Random Dots》など、多様な手法によって偶然性と個人との関係を扱う作品群が並ぶ。

エキソニモ『RandoMe』
会期:6月6日(土)〜7月5日(日)
場所:WAITINGROOM(東京都文京区水道2-14-2 長島ビル1F)
時間:12:00〜19:00(日曜は17:00まで)
休館日:月火祝


5. ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ(国立新美術館)

「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」国立新美術館 2026年 展示風景 撮影:小野正博(fort)
「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」国立新美術館 2026年 展示風景 撮影:小野正博(fort)
「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」国立新美術館 2026年 展示風景 撮影:小野正博(fort)

近代美術の巨匠と英国デザイナーの異色の共演

パリ国立ピカソ美術館が所蔵するパブロ・ピカソ(1881-1973)の作品群を、イギリスを代表するファッションデザイナーのポール・スミスが独自の視点で再構成する展覧会。2023年に開催されたピカソ没後50周年記念展をベースにした国際巡回展で、日本では絵画、彫刻、陶芸、ドローイングなど約80点が紹介される。

最大の見どころは、展示空間そのものをポール・スミスがデザインしている点だ。壁面の色彩やグラフィック、展示構成に至るまで、彼ならではの鮮やかな感覚が随所に反映されている。20世紀美術を代表する芸術家ピカソは、生涯を通じて様式を更新し続けた実験精神の持ち主だった。本展では、その自由な創造性を21世紀のデザイナーの眼差しを通して再発見することができる。

ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ
会期:6月10日(水)〜9月21日(月祝)
場所:国立新美術館 企画展示室2E(東京都港区六本木7-22-2)
時間:10:00〜18:00(金土は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:火曜(8月11日は除く)8月12日

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