今週末に見たいアートイベントTOP5:ルーシー・リーの名作が集結、ドガやマネらの作品で「カフェ文化」を辿る

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

「カフェ」に集う芸術家 ―印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで(三菱一号館美術館)より、サンティアゴ・ルシニョル《カフェ・デ・ザンコエラン》1889-1890年 油彩、カンヴァス ムンサラット美術館 Museu de Montserrat. Donated by J. Sala Ardiz.

1. “カフェ”に集う芸術家 ―印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで(三菱一号館美術館)

ラモン・カザス《マドレーヌ》1892年 油彩、カンヴァス ムンサラット美術館 Museu de Montserrat. Donated by J. Sala Ardiz.
オーギュスト・ルノワール《パリ、トリニテ広場》1875年頃 油彩、カンヴァス ひろしま美術館
エドガー・ドガ《赤い服の踊り子》1897年頃 パステル、カルトン ひろしま美術館
テオフィル・アレクサンドル・スタンラン《シャ・ノワール巡業公演》1896年 リトグラフ
京都工芸繊維大学美術工芸資料館(AN.4829)
サンティアゴ・ルシニョル《カフェ・デ・ザンコエラン》1889-1890年 油彩、カンヴァス ムンサラット美術館 Museu de Montserrat. Donated by J. Sala Ardiz.

カフェから生まれた近代美術のネットワーク

19世紀後半のパリにおいて、カフェやキャバレーは単なる社交の場ではなく、芸術家や作家、批評家たちが集い、新たな表現を生み出す創造の拠点でもあった。本展は、印象派からポスト印象派、さらにはピカソへと至る近代美術の展開を、「カフェ」という視点から読み解く。サロン制度が揺らぎ、芸術家たちが独自のコミュニティを形成していった時代の空気にも迫る。

会場には、マネドガロートレックゴッホピカソらによる作品をはじめ、ポスターや資料を含む約130点が並ぶ。なかでも、バルセロナの伝説的カフェ「クアトラ・ガッツ」に集った若きピカソと芸術家たちの交流に焦点を当て、その後の「青の時代」へとつながる創作の転換点を紹介する。作品鑑賞にとどまらず、芸術家たちの交流やコミュニティの形成という視点から、近代美術の展開を辿ることができる。

“カフェ”に集う芸術家 ―印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで
会期:6月13日(土)〜9月23日(水祝)
場所:三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2)
時間:10:00〜18:00(金曜および第2水曜、7月25日、9月19日~23日は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(祝日、7月27日、8月31日を除く)


2. 五木田智央「Lush Life」(タカ・イシイギャラリー 六本木、京橋)

五木田智央 「Lush Life」 展示風景 タカ・イシイギャラリー 六本木 2026年6月27日 – 7月25日 Courtesy of Taka Ishii Gallery / 撮影: 髙橋健治
五木田智央 「Lush Life」 展示風景 タカ・イシイギャラリー 六本木 2026年6月27日 – 7月25日 Courtesy of Taka Ishii Gallery / 撮影: 髙橋健治
五木田智央 「Lush Life」 展示風景 タカ・イシイギャラリー 京橋 2026年6月27日 – 7月25日 Courtesy of Taka Ishii Gallery / 撮影: 髙橋健治

新作油彩が映す、不穏な時代の空気

国内外で高い評価を集める画家・五木田智央の個展。1990年代後半に鉛筆や木炭によるドローイング作品で注目を集めて以降、モノクロームから色彩豊かな絵画へと表現を拡張しながら、独自のイメージ世界を築いてきた。

同ギャラリーでは7回目の個展となる本展は、京橋と六本木の2会場で展開。昨年から再び取り組み始めた新作油彩を中心に発表する。会場には、人物や動物、風景、抽象的なイメージなどを描いた作品群が並ぶ。作家自身が制作を進めるなかで自然と暗い色彩へ向かったという本シリーズは、不安定な時代の空気を映し出しながらも、人間の内側に潜む生命力や希望を浮かび上がらせる。

五木田智央「Lush Life」
会期:6月27日(土)〜7月25日(土)
場所:タカ・イシイギャラリー 六本木(東京都港区六本木6丁目5−24 complex665 3F)、京橋( 東京都中央区京橋1丁目7-1 3F)
時間:六本木 12:00〜19:00、京橋 11:00〜19:00
休廊日:日月祝


3. まなざしの奇跡展 I'm So Happy You Are Here(渋谷ヒカリエホール)

長島有里枝 DOMANI plus@愛知「まなざしのありか」展示風景|港まちポットラックビル、愛知|2022年 撮影|大塚敬太+稲口俊太(参考写真)
片山真理 《study for caryatid #001》 2023年 ©Mari Katayama, Courtesy of Yutaka Kikutake Gallery and Galerie Suzanne Tarasieve, Paris, Mari Katayama Studio.
石内都 《Mother’s#39》 2002年 ©Ishiuchi Miyako, Courtesy of The Third Gallery Aya
山沢栄子 《What I Am Doing No.77》 1986年 ©Yamazawa Eiko, Courtesy of The Third Gallery Aya
やなぎみわ 《案内嬢の部屋 1F》 (2点組の右側のみ) 1997年 ©YANAGI Miwa

日本女性写真家たちの現在地

1950年代から現代まで、日本の女性写真家たちの実践を包括的に紹介する本展は、これまで十分に語られてこなかった写真史の側面に光を当てる試みとして、国際的にも高い評価を受けてきた。2024年のアルル国際写真祭でスタートし、その後ヨーロッパやアメリカを巡回。この度特別版として日本で公開される。

本展では内容がさらに拡充し、総勢30人の作家による約200点が紹介される。石内都川内倫子志賀理江子、澤田知子、蜷川実花、片山真理やなぎみわ長島有里枝ら、世代も表現手法も異なる作家たちが一堂に会する。写真作品に加え、映像やインスタレーションなども展開。個人の記憶や身体、ジェンダー、家族、社会といったテーマを通じて、日本の写真表現の豊かさと多様性を見渡せる。

まなざしの奇跡展 I'm So Happy You Are Here
会期:7月4日(土)〜8月26日(水)
場所:渋谷ヒカリエホール(東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ9F)
時間:10:00〜19:00
休館日:会期中無休


4. ルーシー・リー展 ―東西をつなぐ優美のうつわ―(東京都庭園美術館)

ルーシー・リー《青釉鉢》1980年頃
井内コレクション(国立工芸館寄託)撮影:品野塁
上野リチ・リックス(装飾)/ヨーゼフ・ホフマン(形)《リキュールグラス》1929年[1917年(形)/1929年(装飾)] 京都国立近代美術館蔵
ルーシー・リー《ボタン》(一部) 1940-50年代 公益財団法人岡田文化財団パラミタミュージアム蔵
ルーシー・リー《ピンク象嵌小鉢》1975-79年頃 国立工芸館蔵 撮影:アローアートワークス

東西を繋いだ陶芸家の美意識を辿る

イギリスを拠点に活動したモダン陶芸の巨匠、ルーシー・リー(1902-1995)の回顧展。オーストリア・ウィーンに生まれたリーは、1938年にイギリスへ移住し、ろくろによる洗練されたフォルムと独創的な釉薬表現によって独自の陶芸世界を築き上げた。機能性と造形美を高い次元で両立させた作品は、20世紀陶芸を代表する仕事として高く評価されている。

昨年の国立工芸館での開催から巡回する本展は、約10年ぶりとなるリーの本格的な回顧展となる。井内コレクションを中心に、初期から晩年までの代表作を紹介する。さらに、ヨーゼフ・ホフマンやバーナード・リーチ、ハンス・コパーら、リーと交流のあった作家たちの作品もあわせて展示。ウィーン工房と東洋陶芸の影響を往還しながら形成された美意識を紐解く。

ルーシー・リー展 ―東西をつなぐ優美のうつわ―
会期:7月4日(土)〜9月13日(日)
場所:東京都庭園美術館(東京都港区白金台5-21-9)
時間:10:00〜18:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜(ただし、7月20日は開館、7月21日は休館)


5. ニキ・ド・サンファル個展「Anubis / Thoeris / Horus」(ANOMALY)

ニキ・ド・サンファル。1992年撮影。Photo: United Archives via Getty Images

神話と生命力が宿る、巨大ブロンズ像の競演

20世紀を代表するアーティストのひとり、ニキ・ド・サンファル(1930-2002)の個展。フランスを拠点に活動したサンファルは、1960年代に「ティル」シリーズで注目を集め、その後は豊満な女性像「ナナ」シリーズによって国際的な評価を確立。彫刻、建築、映画など多様なメディウムを横断しながら、神話や女性性、死と再生といった普遍的なテーマを探究し続けた。近年は欧米を中心に再評価が進み、その先駆的な実践があらためて見直されている。

東京では10年振りの個展となる本展では、古代エジプト神話に登場するアヌビス、トエリス、ホルスをモチーフにした高さ2メートル超のブロンズ彫刻3点を展示する。これらの作品は、晩年の代表作《タロット・ガーデン》にも通じる神話的想像力の結晶といえる。彫刻群は鮮やかな色彩と有機的なフォルムを備え、サンファルならではの造形世界を堪能できる。

ニキ・ド・サンファル個展「Anubis / Thoeris / Horus」
会期:6月10日(水)〜7月11日(土)
場所:ANOMALY(東京都品川区東品川1丁目33−10 TERRADA Art Complex I 4F)
時間:12:00〜18:00
休廊日:日月祝

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