ダ・ヴィンチの傑作《美しきフェロニエール》が初来日。「ルーヴル美術館展 ルネサンス」が9月開幕

「ルーヴル美術館展 ルネサンス」が9月9日から12月13日まで、東京・六本木の国立新美術館で開催される。同展ではレオナルド・ダ・ヴィンチの傑作《美しきフェロニエール》(1490~1497頃)も日本初来日し、同館所蔵の約50点を4章で紹介する。

レオナルド・ダ・ヴィンチ《女性の肖像》、誤って付された別称《美しきフェロニエール》1490‒1497年頃 © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Michel Urtado

「ルーヴル美術館展 ルネサンス」が9月9日から12月13日まで、東京・六本木の国立新美術館で開催される。開幕に先立ち、6月18日に汐留の日テレホールで記者発表会が行われた。

本展は、パリルーブル美術館が誇る約50万点のコレクションの中から、ルネサンス美術が成熟し、ヨーロッパ各地へと広がった15世紀末から16世紀後半に焦点を当てる展覧会だ。絵画や彫刻など約50点を通して、この時代に花開いた多彩な芸術表現を紹介する。ルーブル美術館の所蔵作品による大規模展としては、2023年に国立新美術館と京都市京セラ美術館で開催され、約73万人を動員した「ルーヴル美術館展 愛を描く」以来となる。

最大の見どころは、日本初公開となるレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452〜1519)の《美しきフェロニエール》(1490〜1497年頃)だ。ダ・ヴィンチの真筆と認められる絵画作品は現存15点前後とされ、そのうち5点をルーブル美術館が所蔵している。今回来日する《美しきフェロニエール》は、その代表作のひとつとして知られる傑作であり、ダ・ヴィンチ作品としては、1974年に《モナ・リザ》が東京国立博物館で公開されて以来、51年ぶりの来日となる。

記者発表では、国立新美術館主任研究員の宮島綾子が展覧会の内容を紹介した。本展は、ルネサンス美術の特徴を「旅」「技法の革新と洗練」「古代へのまなざし」「肖像芸術の隆盛」の4つのテーマから読み解く構成となっている。

「旅」の章で注目されるのは、アルブレヒト・デューラーによる《サイ》(1515)だ。デューラーはドイツのニュルンベルクを拠点としながらイタリアを訪れ、人体表現や遠近法を学び、それらを故郷へ持ち帰ったことで知られる。この作品は、インドからポルトガル王へ献上されたサイについての記述とスケッチだけをもとに制作されたにもかかわらず、迫真の姿を描き出している。その再現性の高さから図像はヨーロッパ各地に広まり、後には江戸時代の日本にも伝わった。

アルブレヒト・デューラー《サイ》1515年(初版) パリ、ルーヴル美術館
Photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Michel Urtado / distributed by AMF-DNPartcom
マルカントニオ・ライモンディ、ラファエロ・サンツィオの原作に基づく《パリスの審判》1513‒1518年頃 パリ、ルーヴル美術館 
Photo © Musée du Louvre, Dist. GrandPalaisRmn / Angèle Dequier / distributed by AMF-DNPartcom
エル・グレコ《アントニオ・デ・コバルビアス・イ・レイバ(1524‒1602年)の肖像》1597 ‒1600年頃 パリ、ルーヴル美術館 
Photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Mathieu Rabeau / distributed by AMF-DNPartcom
南ネーデルラント(?) 《田園の合奏》16世紀第1四半期 パリ、ルーヴル美術館 
Photo © Musée du Louvre, Dist. GrandPalaisRmn / Philippe Fuzeau / distributed by AMF-DNPartcom
フランス、おそらくパリ《「田園風陶法」による楕円水盤》1600 ‒1650年 パリ、ルーヴル美術館 
Photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Martine Beck-Coppola / distributed by AMF-DNPartcom
ルカス・クラーナハ(父) 《三美神》1531年 パリ、ルーヴル美術館 
Photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Mathieu Rabeau / distributed by AMF-DNPartcom
ロンバルディアの画家《女性の肖像》、通称《美しきフェロニエール》1500 ‒1512年頃 パリ、ルーヴル美術館
Photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Franck Raux / distributed by AMF-DNPartcom

「技法の革新と洗練」の章では、マルカントニオ・ライモンディによる版画《パリスの審判》(1513〜1518年)が重要作として紹介される。ラファエロの作品をもとに制作された複製版画で、原画は後に失われたとされる。その後、この版画はマネの《草上の昼食》(1863)やピカソ作品の構図にも影響を与えた。宮島は「この作品がなければ、美術史は違う形になっていたかもしれない」と語った。

最後の「肖像芸術の隆盛」の章では、《美しきフェロニエール》が登場する。かつて肖像画では横顔を描く形式が主流だったが、北方ルネサンスでは顔を少し正面に向けた角度から描く「四分の三正面観」が生まれ、やがてヨーロッパ各地へ広まった。《美しきフェロニエール》もその代表例のひとつで、身体は斜めを向きながら、顔は鑑賞者の方へ向けられている。宮島は、ダ・ヴィンチが繰り返し「人物は動作や態度によって心の動きが分かるように描かなければならない」と語っていたことを紹介。そのうえで、この作品について「こちらを見ているようで見ていない謎めいたまなざしと相まって、人間の複雑な心理を描き出している」と解説した。

記者発表会でスピーチする北川景子。Photo: Masaki Yato

その後、本展のアンバサダーを務める俳優の北川景子が登壇した。20代半ばから何度もルーブル美術館を訪れているという北川は、《美しきフェロニエール》について「とても力のある作品。黒い背景から浮かび上がる姿には強い存在感があり、細部まで見ていると時間を忘れてしまう」と魅力を語った。

また、本展ではオリジナルグッズも充実している。鎌倉紅谷の代表菓子「クルミッ子」とコラボレーションした限定パッケージ「ルーヴルッ子」をはじめ、洋菓子ブランド「アトリエうかい」、猿田彦珈琲、フェイラーなど計12ブランドとのコラボレーション企画を展開。展示作品をモチーフにした限定商品が会場を彩る。

ルーヴル美術館展 ルネサンス
会期:9月9日(水)〜12月13日(日)
場所:国立新美術館 企画展示室1E(東京都港区六本木7-22-2)
時間:10:00〜18:00(金土は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:火曜

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