ニューヨーク市が文化芸術に522億円を投資。生活費高騰の中、過去最高額
生活費高騰によりアーティストが街を離れざるを得ない状況が懸念されるなか、ニューヨーク市が文化芸術分野への投資を拡大する。2027会計年度予算案では、文化局に過去最高額となる約522億円が割り当てられる予定だ。
ニューヨーク市長のゾーラン・マムダニと市議会議長は、総額1258億ドル(最近の為替レートで約20兆2786億円)に上る初の予算案を発表した。美術メディアHyperallergicによれば、2027会計年度予算の一部として、ニューヨーク市文化局(DCLA)には過去最高額となる約3億2380万ドル(約522億円)が割り当てられる見通しだ。昨年の2億9960万ドル(約483億円)を6%以上上回り、過去最高額を更新することになる。
DCLAは、自治体による文化助成機関としてはアメリカ最大規模を誇り、ニューヨーク市内の主要文化施設で構成されるCultural Institutions Groupに加盟する39機関に直接助成を行っている。対象には、メトロポリタン美術館、ブルックリン美術館、MoMA PS1、リンカーン・センター、アメリカ自然史博物館といった主要機関に加え、エル・ムセオ・デル・バリオやユダヤ遺産博物館など、特定の文化や歴史に根ざした組織も含まれる。マムダニ市長はHyperallergicの取材に対し、次のように語っている。
「私たちの街のアーティストや文化施設は、ニューヨーク市の鼓動そのものです。しかし、深刻な生活費の高騰により、この街の活気を長年形作ってきたアーティストたちが、ここを離れざるを得ない危機に直面しています。ニューヨークをニューヨークたらしめている人々が、この街で暮らしを築き続けられるべきだと私たちは信じています。だからこそ、ニューヨーク市の芸術・文化団体に対し、歴史的かつ記録的な規模の投資を行えることを誇りに思います」
ニューヨークでアーティストが暮らし続けることの難しさは、近年たびたび指摘されてきた。アーティストのジョシュ・クラインは美術誌『October』に寄稿したエッセイ「New York Real Estate and the Ruin of American Art(ニューヨークの不動産とアメリカン・アートの崩壊)」で、不動産価格の高騰がアメリカのアートシーンに及ぼす影響を論じている。また2024年には、ニューヨークを拠点とする文化・芸術政策研究所のゴンザロ・カサルスとマウリシオ・デルフィンがUS版ARTnewsへの寄稿で、パンデミックから4年が経っても芸術文化部門への影響は続いており、資金面でも厳しい状況が続いていると指摘していた。
DCLAによれば、今回の予算には、資金難に直面する芸術団体を支えるための「文化安定基金」が初めて盛り込まれた。この基金は、文化施設やアーティストへの緊急支援として、2029会計年度まで毎年1000万ドル(約16億円)を提供するものだ。DCLA局長のディヤ・ヴィジは、Instagramに次のように記している。
「アーティストや文化団体が、限られたリソースでより多くを求められているいま、この予算は、ニューヨークにとって芸術とアーティストがいかに不可欠な存在であるかを力強く示すものです。芸術と文化は、私たちが自らの物語を語り、互いを思いやり、この街の未来を形作るための手段です。ニューヨークを文化芸術の世界的中心地にしている人々を支える決断がなされたことを、私は心から誇りに思います」
(翻訳:編集部)
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