安藤忠雄の初期作《住吉の長屋》が登録有形文化財へ。安藤建築として初

文化審議会は7月17日、安藤忠雄の初期代表作《住吉の長屋(東邸)》や東京・表参道の山陽堂書店など、28都府県の建造物163件を登録有形文化財とするよう文部科学大臣に答申した。

安藤忠雄初期の代表作《住吉の長屋(東邸)》(1976)。Photo: Wikimedia Commons

文化審議会(日比野克彦会長)は7月17日、安藤忠雄が設計した《住吉の長屋(東邸)》(1976)や、東京都港区の山陽堂書店など、28都府県の建造物163件を登録有形文化財(建造物)とするよう文部科学大臣に答申した。今後、官報告示を経て正式に登録される予定で、安藤が設計した建築としては初となる。

大阪市住吉区の住宅密集地に建つ《住吉の長屋(東邸)》は、安藤の初期の代表作として知られる。もとは3軒続きの木造長屋で、その中央の一戸を取り壊して打ち放しコンクリートの住宅に建て替えた。間口約2間、奥行き約8間の細長い敷地に建つ鉄筋コンクリート造2階建てで、建築面積は33.7平方メートル。

最大の特徴は、建物の中央に屋根のない中庭を設け、そこに階段と、前後の2階部分を結ぶ渡り廊下を配置した点にある。居室間を移動する際には、雨の日でも一度屋外に出なければならない。道路側には窓がほとんどなく、打ち放しコンクリートの外壁が閉鎖的な印象を与える一方、内部には中庭を通して光や風、雨といった自然を取り込む。

文化庁は同邸について、「コンクリート打放仕上の閉鎖的な外観と中庭による開放性を共存させ、都市住宅像の新境地を切り拓いた名作」と評価している。

一方、東京・港区にある1891年創業の老舗、山陽堂書店の店舗は、鉄筋コンクリート造の地上3階、地下1階建て。当初の建物は1931年に建てられたが、前面道路の拡幅に伴い、躯体の北端部だけを残して1963年に現在の規模へ再構築された。その後、1975年と2011年に改修されている。外壁を飾る、谷内六郎の原画をもとに制作された巨大なモザイクタイルが特徴だ。谷内は長年「週刊新潮」の表紙絵を手がけたことで知られる。

このほか、ヴォーリズ建築事務所が設計した、礼拝堂と幼稚園を一体化した「日本聖公会中部教区高田降臨教会教会堂及びもみじ幼稚園園舎」(1938、新潟県上越市)や、日本初の植物生態学講座の開講に伴って設けられた高山植物の研究施設「東北大学植物園八甲田山分園実験棟」(1928、青森県青森市)なども答申対象となった。

登録有形文化財となった建物はその後も使用し続けることは可能だが、外観や構造などを大きく変更する場合は原則として事前の届け出が必要になる。一方、保存修理に対する支援や税制上の優遇措置を受けられる場合がある。

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