今週末に見たいアートイベントTOP5:ナム・ジュン・パイクの大規模回顧展、青木淳とリチャード・タトルによる空間実験
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

1. やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ(世田谷文学館)
「アンパンマン」に至る、やなせたかしの歩み
『アンパンマン』の生みの親として知られる、やなせたかし(1919-2013)の初となる大規模巡回展。やなせは1919年に高知県で生まれ、東京高等工芸学校(現・千葉大学)卒業後、戦争を経験し、復員後に漫画家として独立。漫画家、詩人、絵本作家、イラストレーター、デザイナー、編集者など幅広い分野で活動を続けた。1967年に「ボオ氏」で週刊朝日マンガ賞を受賞し、1973年には雑誌「詩とメルヘン」編集長に就任した。同年に発表した絵本『あんぱんまん』は、その後世代を超えて親しまれる国民的キャラクターとなる。本展は、2026年にやなせたかし記念館アンパンマンミュージアムが開館30周年を迎えることを記念して開催される。
会場では、約200点の原画を中心に、「やなせたかし大解剖」「漫画」「詩」「絵本/やなせメルヘン」「アンパンマン」「第6章epilogue『人生はよろこばせごっこ』」の6章で構成。漫画や絵本の原画に加え、詩やデザインなど多彩な仕事を紹介し、「人生はよろこばせごっこ」というやなせの言葉を手がかりに、その創作の背景に迫る。戦争体験や家族との別れを経て抱き続けた「なんのために生まれて、なにをして生きるのか」という問いに、代表作をはじめとする多彩な表現を通してどのように向き合ってきたのかをたどる。
やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ
会期:6月30日(火)〜9月6日(日)
場所:世田谷文学館(東京都世田谷区南烏山1-10-10)
時間:10:00〜18:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)
2. before the dog, behind the cat / 長島有里枝(MINA)
1990年代から現在まで、時を横断する写真表現
写真家・長島有里枝による個展。長島は1973年東京都で生まれ、武蔵野美術大学在学中に活動を開始し、カリフォルニア芸術大学大学院で写真を学んだ。写真作品で木村伊兵衛写真賞、写真の町東川賞国内作家賞を受賞するほか、文筆家としても講談社エッセイ賞を受賞している。写真を出来事の記録ではなく、人や時間との関係のなかで生成される「痕跡」として捉え、セルフポートレートやスナップを通して、自己や他者のあり方を継続的に問い続けてきた。
本展は3つのシリーズで構成される。2025年発表作に猫の写真やドローイングを重ねたコラージュ作品、1994年に渋谷で撮影したストリートスナップ、さらに過去のネガから制作したモノクロ作品をテーブルへと再構成したインスタレーションを展示。1990年代から2020年代までの作品を同じ空間に並置することで、過去の作品を保存・展示するだけではなく、現在の視点から更新し続ける「生きているアーカイブ」として提示する。
before the dog, behind the cat / 長島有里枝
会期:7月10日(金)〜9月27日(日)
場所:MINA(東京都渋谷区渋谷3丁目7-1 )
時間:11:00~22:00
休館日:なし
3. リー・キット 千葉正也 to sweat 流汗(シュウゴアーツ)
同時代を歩んできた2人、交差する絵画と思考
リー・キットと千葉正也による2人展。香港出身で現在は台北を拠点に活動するリー・キットは、光や映像、音、言葉、ファウンド・オブジェなどを取り入れながら、絵画表現を空間へと拡張する作品を発表してきた。一方の千葉正也は、自ら制作したモチーフや身近な風景、過去の出来事を反復的に描き直すことで、絵画と認識の関係を探求している。国際的に活動する同世代の2人による初の展覧会となる。
本展は、2人が交わした往復書簡やリーの台湾のアトリエでの対話をきっかけに構想された。展示では、それぞれの新作を中心に、言葉やイメージ、音を介して展開された思考のプロセスが空間全体に反映される。異なる制作環境を歩んできたそれぞれの表現が同じ場で交差することで、絵画を起点とした新たな関係性が立ち上がる。
リー・キット 千葉正也 to sweat 流汗
会期:7月11日(土)〜8月22日(土)
場所:シュウゴアーツ(東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F)
時間:11:00〜18:00
休館日:日月祝、8月9日〜8月17日
4. ほぼ、空:青木淳 + リチャード・タトル(東京オペラシティ アートギャラリー)
作品と空間の関係を問い直すコラボレーション
建築家の青木淳とアーティスト、リチャード・タトルによる展覧会。青木は青森県立美術館や京都市京セラ美術館などを手がけ、建築を通して人と空間の関係を問い続けてきた。一方、タトルはアメリカを拠点に1960年代から活動を続け、ドローイングや彫刻、インスタレーションなど既存のジャンルにとらわれない表現で国際的に評価されてきた。本展は、建築家が展示設計を担うのではなく、両者が対話を重ねながら一つの展示空間を構築する試みとなる。
会場では、タトルがボイド管や断熱材など建築資材を用いて制作した立体作品と、青木が過去に同館で使用された展示台を再利用して制作した什器や椅子、照明などを展開する。タイトルに「ほぼ、空」とあるように、鑑賞者は作品を通してななめ上を向くことを促される。その視界にはなにが映るのか、なにを発見するのか。展示室で確かめてもらいたい。
ほぼ、空:青木淳 + リチャード・タトル
会期:7月18日(土)〜9月23日(水祝)
場所:東京オペラシティ アートギャラリー(東京都新宿区西新宿3-20-2)
時間:11:00〜19:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜(7月20日、9月21日を除く)、7月21日、8月2日
5. 没後20年 ナムジュン・パイク|じゅげむ展(ワタリウム美術館)

ろうそく、ろうそく立て、カメラ1 台、ビデオプロジェクター4 台
ビデオアートの先駆者の創作を全館で展開
ビデオ・アートの先駆者ナム・ジュン・パイク(1932-2006)の没後20年を記念する展覧会。東京大学で美学・美術史を学んだ後に渡独したパイクは、ジョン・ケージ(1912-1992)との出会いを経て、1963年に世界初のビデオ・アート作品を発表。その後もテレビや映像技術を用いた作品を数多く制作し、メディア・アートの発展に大きな影響を与えた。本展では、ワタリウム美術館の前身であるギャルリー・ワタリとの関わりにも焦点を当てながら、その活動を振り返る。
展示は美術館2〜4階を使用して構成される。2階では《ケージの森/森の啓示》(1993)を中心に、実際の木々を取り入れたインスタレーションを展開。3階では未公開のコラージュ作品を含む平面作品や《TV植物》(1980)などブラウン管を用いた立体作品を紹介し、4階では《ニューキャンドル》(1993)による光のインスタレーションを展示する。映像、彫刻、ドローイングなど多様な作品を通して、約半世紀にわたるパイクの実践をたどることができる。
没後20年 ナムジュン・パイク|じゅげむ展
会期:7月19日(日)〜11月23日(月祝)
場所:ワタリウム美術館(東京都渋谷区神宮前3-7-6)
時間:11:00〜19:00
休館日:月曜日(7月20日、9月21日、10月12日、11月23日を除く)
































