藤田嗣治からマティスまで「猫アート」がオークションへ──シスコ共同創業者が愛蔵品を大放出

を飼えなかったことをきっかけに、40年以上にわたって「猫アート」を収集してきたシスコシステムズ共同創業者のサンディ・ラーナー。それらを含む約1000点の愛蔵品が、今秋、4回のオークションに分けて売却される。

藤田嗣治(1886–1968)が1934年に制作した《Chat et Chaton》。Photo: Courtesy Bonhams

世界有数のネットワーク機器企業シスコシステムズの共同創業者で、化粧品ブランド「アーバン・ディケイ」創設者の1人でもあるサンディ・ラーナーが、バージニア州の自邸で所蔵していた約1000点のコレクションを手放す。その中には、をテーマに収集した作品をはじめ、数世紀にわたる美術品や宝飾品、室内装飾品などが含まれている。

「サンディ・ラーナー・キャット・コレクション」と題されたセールは9月から10月にかけ、ニューヨークとマサチューセッツで4回の開催が予定されている。そのうち2回のオークションでは、ラーナーが40年以上にわたって収集に情熱を傾け、「caticons(キャティコン)」と呼んでいた猫モチーフの品々が出品される。9月30日にボナムズ・ニューヨークで行われる対面形式のセールには66点が出品され、もう1つのオークションは9月22日から10月1日にかけてオンラインで行われる。

ラーナーには、猫への愛情を綴った著書『Caticons: 4,000 Years of Art Imitating Cats(キャティコン:猫を再現した4000年の芸術)』(2017)がある。それによると、収集のきっかけは、当時の夫にアレルギーがあったため「猫を飼えない状況にあった」ことだったという。

セールに関する声明でラーナーは、コレクションは全て自ら選んだものだとし、「これらの品は今、人類の偉業の象徴として、そして『キャティコン』の場合はそれらを生み出した愛情の象徴として、大切に扱い、慈しみ、尊重してくれる新たな持ち主のもとへ引き取られる必要があります」と述べている。

注目の作品には、予想落札額3万から5万ドル(約477万~795万円)の藤田嗣治《Chat et Chaton(親と子猫)》(1934)、同1万から1万5000ドル(約159万〜239万円)のアンリ・マティス《Visages et grenades(顔とザクロ)》(1952年頃)、同2万から3万ドル(約318万〜477万円)のディエゴ・ジャコメッティ《Tête de Chat(猫の頭部)》(1970年頃)などがある。

そのほか、レンブラント・ブガッティ、エドゥアール・マネ、テオフィル・アレクサンドル・スタンラン、フェルナンド・ボテロ、アンリエット・ロナー=クニップといったアーティストやデザイナーの作品も出品が予定されている。

サンディ・ラーナーのキャット・コレクション。Photo: Courtesy Bonhams

なお、9月の対面形式オークションでは、ティファニーやブシュロンをはじめ、猫をモチーフにしたジュエリーも出品される。さらに、清朝時代のアジアの美術品や装飾品にも関心が集まっている。

「犬派」のコレクターや、特に猫好きではない場合には、猫をテーマとしない絵画や装飾美術品、家具が出品されるセールもある。こちらは10月にマサチューセッツ州で行われる対面形式のセールおよびオンライン・オークションで、数世紀にわたるヨーロッパおよびイギリスの美術品やデザイン分野の品が含まれる。出品作は、ラーナーがバージニア州アッパービルに所有していたジョージアン・リバイバル様式の邸宅「エアシャー・ファーム」に飾られていたものだ(邸宅は今年2月に売却)。

コレクションには猫以外の動物を題材とした作品も多く、ラーナーがいかに動物好きであるかが分かる。その例としては、予想落札額2万5000から3万5000ドル(約398万〜557万円)のウォルター・ハント《Feeding Time(給餌の時間)》(1890)や、同1万〜2万ドル(約159万〜318万円)のC.J.ヴァンダーによる銀メッキの白鳥型ジャルディニエール(装飾的な鉢カバー)一対などが挙げられる。(翻訳:石井佳子)

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