10億円超のウォーホル作品に贋作疑惑──投資家一家、偽造・販売に関与した人物や企業を提訴
不動産投資家が購入したアンディ・ウォーホル作品に贋作の疑いが生じた。これを受け投資家一家は、偽造や流通に関与したとされる人物や企業を相手取り、訴訟を起こしている。
不動産投資家のリチャード・パールマンとその家族は、670万ドル(約10億3500万円)以上を投じて購入したアンディ・ウォーホル作品が贋作だったとして、偽造や販売に関与したとされる人物や企業を提訴した。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、9月9日にマイアミの州裁判所に提出された訴状では、フロリダ州やペンシルベニア州、ペルーの人物や企業が、巧妙な偽造ネットワークを通じて「贋作の供給と鑑定、販売に関わった」とされる。さらに、ペルーで雇われた画家による贋作制作からアメリカへの密輸、偽造書類やキャンバスのラベルを使った来歴情報の捏造まで、作品がマイアミに持ち込まれるまでの経緯も記されている。
訴状によれば、偽造の疑いが浮上したのは2023年。パールマンがクリスティーズの専門家を招き、ウォーホル作とされる肖像画を含むコレクションの査定を依頼したことがきっかけだった。コレクションには、俳優のライザ・ミネリやデボラ・ハリー、エリザベス2世などを描いた作品が含まれていた。しかし、クリスティーズ側が作品の真贋に疑念を示したことから、パールマンは独自に調査を始めた。
パールマンは2024年にも、ココナッツ・グローブでギャラリーを経営していたレスリー・ロバーツを提訴している。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、この訴訟は今年1月に和解が成立。一方、ロバーツはウォーホル作品の偽造販売をめぐる刑事事件で電信詐欺の罪を認めており、9月24日に判決が言い渡される予定だ。起訴後にギャラリーを閉鎖したロバーツは、作品を販売した当時は真作だと信じていたと一貫して主張している。自身も330万ドル(約5億1000万円)の資金を投じていたが、「事態を収拾するには、その方が得策だった」として罪を認めたという。
今回の訴訟は、「州や国境を超えて偽造作品が流通するパイプラインを作り上げた」とされる関係者の責任を追及することを目的としている。被告には、フィラデルフィアに拠点を置く美術商ネイサン・アイゼンも含まれる。7月には、連邦捜査局(FBI)の捜査員が彼のギャラリー「デーン・ファイン・アート」を家宅捜索している。
アイゼンは2015年、美術品を使って麻薬取引の収益を資金洗浄する計画に関与したとして、マネーロンダリングの罪を認めている。同年、フィラデルフィア・マガジン誌は、彼が偽造美術品を販売していたという疑惑を報じた。なお、アイゼンは今回のウォーホル偽造事件への関与を一切否定している。
さらに訴状は、ペルーにいる2人の男がウォーホルの署名入りとされる作品を制作し、ロバーツのギャラリーへキャンバスを発送する手配をしたと主張している。発送書類に記載された価格はわずか30ドル(約4600円)で、訴状は「アンディ・ウォーホルの真作とされる絵画としては、常軌を逸した低価格だ」と指摘する。ほかにも、ロバーツがアート・バーゼル・マイアミ・ビーチで知り合ったというフロリダのディーラーや、「ウォーホル・アンド・フレンズ」という合同会社に関与する元歯科医などの名前が挙げられている。パールマン一家の弁護士ルーク・ニカスは、ウォール・ストリート・ジャーナル紙のインタビューでこう語っている。
「パールマンは、一家を騙し、他の被害者をも欺くためにこの計画を実行したすべての個人および企業の責任を追及したいと考えています」
(翻訳:編集部)
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