家財処分で5000円弱だった絵画、「ボヘミアンの女王」の作品と判明──最大3800万円で競売へ

ミシガン州の家財処分セールで、わずか30ドル(約4600円)の値が付けられていた絵画が、現在再評価が進むアメリカの画家、ガートゥルード・アバクロンビーの作品であることが判明した。同作は最大25万ドル(約3800万円)の落札予想価格でオークションに出品される。

Gertrude Abercrombie, Alderman Merriam's Shells, 1951. Courtesy Freeman's
家財処分セールで発見された、ガートゥルード・アバクロンビー《Alderman Merriam’s Shells》(1951)。Photo: Courtesy Freeman's

数十年にわたり所在不明となっていたガートゥルード・アバクロンビー(1907-1977)の絵画が、この10月、フリーマンズのオークションに出品され、新たなコレクターの手に渡ることになりそうだ。

シカゴを代表する画家、アバクロンビーの《Alderman Merriam’s Shells》(1951)は、深い闇のなかに貝殻が散らばる謎めいた静物画だ。この作品は、フリーマンズが開催する戦後・現代美術オークションの出品作のなかでも最も興味深い来歴を持つと言える。オークションハウスによると、本作はこの夏ミシガン州で開かれた、すでにめぼしい品はほとんど売れてしまった家財処分セールで発見された。薄暗い廊下の一角に掛けられていた作品には30ドル(最新の為替レートで約4600円)の値札が付けられ、画面の隅に記された「Abercrombie」というサインも危うく見過ごされるところだった。

「確信は持てなかったものの、興味を引かれた」という発見者は、このキャンバスをミルウォーキー美術館に持ち込んだ。奇遇にも、当時、同館ではちょうどアバクロンビーの回顧展が開催されていた。そしてその展覧会カタログには、まさにこの作品の記録写真が掲載されていたのだ。この絵はもともと、ニューマン・ブラウン・ギャラリーで開催されたアバクロンビー展を紹介する1952年の『Chicago Review』の記事にも、図版として掲載されていたものだった。

アバクロンビー研究の第一人者、スーザン・ワイニンガーによって真作と確認された《Alderman Merriam’s Shells》は、その後、ミルウォーキーでの展覧会スポンサーでもあるフリーマンズに持ち込まれた。こうして30ドルだった作品の値札は、15万〜25万ドル(約2300万〜3800万円)という落札予想価格へと跳ね上がった。入札は7万5000ドル(約1160万円)から始まる。

不穏な気配を漂わせながらも、視覚的には抑制の効いたこの作品には、繊細に描かれた9つの貝殻が登場し、そのうちの1つは黒い背景のなか、糸で吊り下げられている。フリーマンズによると、これらの貝殻は、アバクロンビーが暮らし制作していたシカゴ・ハイドパーク地区の市会議員だったロバート・E・メリアムが所有していたものだという。

フリーマンズのシニア・バイス・プレジデントで、戦後・現代美術部門を統括するザカリー・ワーサムは声明で、つい最近、ミルウォーキーでの展覧会を訪れた人々に、アバクロンビーの作品はいまでも「ごく稀に」家財処分セールで見つかることがあると話したばかりだったと振り返り、「それが1カ月もしないうちに現実になるとは思いもしませんでした」と驚きを示している。(翻訳:編集部)

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