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ハリアント・アディコエソエモ(Haryanto Adikoesoemo)

拠点:インドネシア・ジャカルタ
職業:エネルギー、物流、不動産
収集分野:インドネシア、アジア、西洋の近現代アート

ハリアント・アディコエソエモは、石油・基礎化学品の物流、高級不動産物件開発などの事業を行うインドネシアのコングロマリット、AKRの2代目総帥。1983年の大学卒業後、父親が創立した企業に入社した彼が美術品の収集を始めたのは20年ほど前で、今ではインドネシア国内外のアート界に大きな影響力を持つ存在になっている。ジェフ・クーンズ、アンディ・ウォーホル、マーク・ロスコ、ゲルハルト・リヒターなど、所有作品数は約800点。そのうち半数ほどが、Affandi、Srihadi Soedarsono、FX Harsono、Entang Wiharsoといった、世界での知名度は高くないがインドネシアで人気のあるアーティストの作品だ。

アディコエソエモは、市場が注目するより先に才能あるアーティストを見抜く目を持っている。彼がコレクションを始めた2002年、ギャラリーオーナーの友人がバリ島でチュー・テチュンとザオ・ウーキーの2人展を開いたが、作品はまったく売れなかった。しかし、ザオ・ウーキーはその後人気作家となり、2018年のオークションでは落札額6500万ドル(約95億円)を達成している(現在もウーキー作品の最高落札額)。「誰も作品を買わなかったので、友人のためにほとんどの作品を買うことにしました」とアディコエソエモは言う。「今はジャカルタのマカン美術館に収蔵し、来場者に見てもらうことができるので、買ってよかったと思っています」

2002年には、ジャン=ミシェル・バスキアの作品も購入したが、バスキアの現在のオークション最高額は2017年にサザビーズ・ニューヨークで記録した1億1050万ドル(約161億3000万円)にまで跳ね上がっている。「当時、アジアのコレクターでバスキアを知っている人はほとんどいませんでしたし、私の家族も、こんな美しくない作品を買うなんてどうかしていると思っていたようです」と、アディコエソエモはUS版ARTnewsに語っている。

ハーシュホーン博物館と彫刻の庭(ワシントンD.C.)の理事を務めたこともあるアディコエソエモは、インドネシアにおける美術教育と地域社会への還元を目指し、2017年11月に西ジャカルタ市にオープンしたマカン美術館設立への資金提供を行った。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。

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