トロイ・カーター(Troy Carter)
拠点:アメリカ・ロサンゼルス
職業:投資家(エンタテインメント、テクノロジー)
収集分野:現代アート
投資家でアートコレクターのトロイ・カーターは、自分が拠点とするロサンゼルスの地域社会への貢献活動を熱心に行っている。音楽配信大手スポティファイの元幹部で、タレントマネジメント会社アトム・ファクトリーの創設者でもあるカーターは、ロサンゼルス・カウンティ美術館の理事のほか、人気作家マーク・ブラッドフォードが設立したアート+プラクティスの諮問委員も務めている。この団体は、非営利展示スペース運営やレイマートパーク地区の青少年支援活動を行っている。また、数年前にはカリフォルニア芸術大学の理事に就任したが、最近のフリーズ誌のインタビューによると、初めての理事会を抜け出して、授業料への抗議を行う学生たちと話し合ったという。
そんな彼は、かつて「好きなもの、嫌いなもの、壊れているもの、未来の姿など、アートのエコシステム全体に魅力を感じる。だからいろんなところに首を突っ込み、しかも深入りしてしまう」と語っている。
2018年、コロラド州にあるアスペン美術館で開催されたイベントで、ラシッド・ジョンソンの大型絵画《Untitled Escape Collage》を73万ドル(約1億600万円)で手に入れた頃から、カーターはコレクターとして注目され始めた。現在、彼のコレクションにはジョンソンのほか、グレン・ライゴン、サム・ギリアム、チャールズ・ゲインズ、ローナ・シンプソン、シアスター・ゲイツ、ローレン・ホールジーなどの作品がある。また、アーティストのスタジオで直接購入するのを好むカーターは、ゲイツとホールジーは友人だと公言している。
2019年にUS版ARTnewsの取材に彼はこう語った。「長年、音楽業界のアーティストと過ごしてきたので、創作のプロセスはよく分かっている。才能ある作家のスタジオに行くのは、ソングライターが歌詞に込めた考えを知るようなもので、意図が理解できるところがいい」