キム・ウンギ(Woong-ki Kim)
拠点:韓国・ソウル
職業:アパレル製造(グローバル・セア・グループ)
収集分野:韓国の近現代アート

キム・ウンギは、ソウルを拠点とするコングロマリット、グローバル・セア・グループの会長だ。世界最大級のアパレル輸出企業のほか、インドネシアの生地製造会社、コスタリカの製糸会社、ファッションブランド、建設会社、食品・飲料会社、段ボール・紙パッケージ製造会社などを傘下に持つ同グループの経営において、キムは最高レベルの環境基準を目指しているという。さらに、企業の社会的責任を重視しながら、それぞれの業種での技術革新を進めている。
1986年に設立された同グループは、アジアと中米・カリブ海地域を中心に10カ国以上で事業を展開。1日あたり260万着の衣料品を生産し、年間売上高は推定35億ドル(約5100億円)とされる。2012年には、2010年に発生したハイチ大地震の復興支援のため、同国政府と協定を結び、生産拠点を開設した。
キムは自社ウェブサイトに掲載された声明でこう述べている。「長年、世界各国に足を運ぶ中で、我われの投資がその地域の経済成長に役立っていることを実感してきました。新しい商業施設から交通システムの建設に至るまで、それぞれの社会は大きく発展しています。しかし、経済投資は私たちの取り組みの一部に過ぎません」
コレクションについてはこれまであまり情報のなかったキムだが、近年ソウルの江南区にS2Aという展示スペースをオープンしたことが韓国のメディアで広く報じられた。2022年に始まったフリーズ・ソウルの開催時期には、サムスンの故李健熙会長とその妻洪羅熙氏が設立したリウム美術館とともに、アート関係者が訪れる主要スポットとなっている。
S2A設立が明らかになったきっかけは、韓国の抽象画家、金煥基(キム・ファンギ)の作品《Universe 5-IV-71 #200》(1971)を、キムが2022年に落札したことだった。全面に広がる青い色が印象的なこの抽象画は、2019年にクリスティーズ香港で行われたセールで、1000万ドル(約14億6000万円)で落札され、当時の韓国人アーティストの史上最高額を樹立した。キムはこのほかにも、韓国の近現代アートの重要作品や草間彌生の作品などを所有している。
注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。