ジル&ピーター・クラウス(Jill and Peter Kraus)
拠点:アメリカ・ニューヨーク州ダッチェス郡
職業:資産運用会社
収集分野:現代アート
ピーター・クラウスは、彼が「キュレーター」と呼ぶ妻のジル・クラウスと過ごす時間を増やすために、美術品の収集を始めたという。現在、そのコレクションの多くは、ウォール街にあるピーターのオフィスに展示されている。しかし、夫妻は所有作品を独り占めしているわけではない。ジルが理事を務めているニューヨーク近代美術館(MoMA)には、時を示す古今東西の映像をコラージュした24時間にもおよぶクリスチャン・マークレーのビデオインスタレーション《The Clock》を寄贈したほか、ロサンゼルスのハマー美術館にも作品の寄贈を行っている。
ジルは、屋外アート作品の制作を作家に依頼するニューヨークのパブリック・アート・ファンドの理事長を長年務めてきた。パブリック・アート・ファンドのディレクター兼チーフキュレーターであるニコラス・ボームは以前、「ジル・クラウスは、幅広い経験と専門性を兼ね備えたリーダーだ」と述べている。
ピーターは、2008年から2017年まで国際的な資産運用会社であるアライアンス・バーンスタインの会長兼CEOとして、300億ドル(約4兆3500億円)以上の預り資産を運用。2018年に設立した資産運用会社アパーチャー・インベスターズでも会長兼CEOの座にある。また、これまでマンハッタンのリンカーン・センターの理事のほか、カリフォルニア芸術大学の監督委員会議長、カーネギー・インターナショナル(米国で最も古いビエンナーレ)の共同議長を務めている。
注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。