アート窃盗団を告発! ウォーホルやポロック作品、大リーガーの貴重なお宝など20年におよぶ犯行
アメリカ・ペンシルベニア州で、アンディ・ウォーホルのシルクスクリーンやジャクソン・ポロックの絵画、スポーツ関連のお宝など、数十億円相当の盗みを働いた容疑で窃盗団9人が告発された。
アメリカ・ペンシルバニア州中部地区の連邦検事、ジェラルド・M・カラムが6月15日に発表したところによると、容疑者はアメリカ東海岸と中西部の20におよぶ博物館や美術品店で、20年以上にわたり美術品やスポーツメモラビリア(*1)の窃盗を繰り返していた。
*1 人気スポーツ選手の直筆サイン入り物品や使用済みの用具など。
カラム検事の声明では、1950年代に活躍したニューヨーク・ヤンキースの名選手、ヨギ・ベラのワールドシリーズリング10個のうち9個を含む金や銀のグッズを溶かしてディスク状に成形したものが、高額で販売されていたとされる。
この窃盗団による最も早い時期の事件の1つは、2002年にペンシルベニア州スクラントンのエバーハート博物館で起きている。このときは、ジャクソン・ポロックの1949年の絵画《Springs Winter》と、アンディ・ウォーホルのシルクスクリーン作品《Le Grande Passion》が盗まれたが、被害額は当時それぞれ1160万ドル相当と10万ドル相当とされた(現在のレートで約16億円と約1400万円)。
裁判資料によると、告発を受けた9人のうち8人が当局に出頭し、少なくとも5人が美術品窃盗と文化財遺棄を共謀した罪で司法取引に応じたことをAP通信が報じた。9人はいずれもペンシルバニア州在住で、出頭していないニコラス・ドンベック(53歳)については、現在も警察が捜索中だ。
「約3年前、地元の警察が捜査を行った盗難現場の1つで、連続窃盗事件のいくつかを結びつける法医学的証拠にたどり着いた」とカラム検事は語っている。(翻訳:石井佳子)
from ARTnews