クウィー兄弟(Kwee brothers)

拠点:シンガポール
職業:不動産業(ポンティアック・ランド・グループ)
収集分野:中国の水墨画、近現代アート

左から、クウィー・リオン・ケン、クウィー・リオン・テック、クウィー・リオン・シーン。Photo: Neil Rasmus/BFA.com

クウィー・リオン・ケン、クウィー・リオン・テック、クウィー・リオン・シーン、クウィー・リオン・ピンの4兄弟は、1958年にインドネシアからシンガポールに移住した父、ヘンリー・クウィーが設立したポンティアック・ランド・グループの2代目経営者だ。米フォーブス誌は、アジアで最も裕福な一族の1つである彼らの純資産を、2024年9月時点で約68億ドル(約9900億円)と推定している。

クウィー・リオン・テックが会長を務め、クウィー・リオン・ケンがマネージングディレクターを務めるポンティアック・ランド・グループは、シンガポール、シドニー、モルディブ、ニューヨークで不動産開発を行っている。そのうち2つの大規模開発、ミレニアシンガポールとモルディブのファリアイランドは、いずれもリッツ・カールトン・ホテルを中心としたものだ。ミレニアシンガポールは、プリツカー賞受賞の著名建築家ケビン・ロッシュとの共同設計で、敷地内にロイ・リキテンスタインの彫刻がある。また、モルディブでは、水上ヴィラのデザインをジェームズ・タレルに依頼したと伝えられている。

同グループはこのほかにも、カペラ・シンガポール、カペラ・シドニー、コンラッド・センテニアル・シンガポール、リージェント・シンガポールなどの高級ホテルを手がけている。シンガポールの2つのホテルは、ミレニアタワーとセンテニアルタワーという高層オフィスを含む総合開発だ。また、住宅分野ではポール・ルドルフが設計したシンガポールのコンドミニアム「コロネード」や、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の隣にそびえるジャン・ヌーヴェル設計のタワーコンドミニアム「53 West 53」も運営している(53 West 53の居住者には、MoMAの終身メンバーシップが提供される)。

コレクションの内容はほとんど公開されていないが、中国の水墨画を中心に、リキテンスタイン、フランク・ステラ、草間彌生、ジェームス・ローゼンクイスト、朱銘(ジュ・ミン)などの近現代アート作品を所蔵しているとされる。

注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。

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