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トーマス・ラウ(Thomas Lau)

拠点:香港
職業:不動産業
収集分野:近現代アート

アートコレクターは、セキュリティや資産管理面への配慮から、自分のコレクションの内容や規模を明かさない場合が多い。中でも、香港の大富豪トーマス・ラウに関する情報はほとんど公になっておらず、富裕層向けメディアのタトラー・アジアにはよく登場するものの、自らの財産については沈黙を守っている。そのため、コレクション内容は業界関係者の間でうわさ話が出回る程度だが、US版ARTnewsに近い情報筋によると、ラウは国際的なアートシーンにおける重要コレクターと言っていい存在だという。

米フォーブス誌によると、2020年4月時点の純資産は10億ドル(約1460億円)。その基盤となる事業は、香港でSOGO(崇光/そごう)百貨店やショッピングモールなどを幅広く展開するライフスタイル社だ。同社の会長兼CEOを長年務めているラウは、これまで2度、インサイダー取引で司法の裁きを受け、1999年には無罪となったが、2度目の2006年には中国政府に390万ドル(約5億7000万円)を支払い、兄ジョセフの不動産会社チャイニーズ・エステーツ・ホールディングスの取締役会長から退くことになった。兄ジョセフもTOP 200 COLLECTORSに名を連ねており、そのコレクションについては、少なくともトーマスよりは情報がある。なお、ラウのアートやビジネス以外の活動としては、中国の歴史ある主要大学の1つ、上海交通大学の理事職が挙げられる。

注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。

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