ARTnewsJAPAN

トーマス・ラウ(Thomas Lau)

拠点:香港
職業:不動産業
収集分野:近現代アート

アートコレクターは、自分のコレクションの内容や規模をほとんど明かさない場合が多い。セキュリティ面や経済面で慎重さが求められるからだ。中でも、香港の大富豪トーマス・ラウに関する情報はほとんど公になっていない。タトラー・アジア誌にはよく登場するものの、所有物についてはほとんど沈黙を守っている。そのため、コレクションについては業界関係者の間でうわさ話が出回る程度だが、US版ARTnewsに近い信頼できる情報筋は、ラウは国際的なアートシーンで活躍する重要コレクターだとしている。

米フォーブス誌によると、2022年の彼の純資産は10億ドル(約1450億円)。その基盤となる事業は、香港でSOGO(崇光/そごう)百貨店やショッピングモールなどを幅広く展開するライフスタイル社だ。同社の会長兼CEOを長年務めているラウは、これまで2度、インサイダー取引で司法の裁きを受けた。1999年には無罪となったが、2度目の2006年には中国政府に390万ドル(約5億7000万円)を支払い、兄ジョセフの不動産会社チャイニーズ・エステーツ・ホールディングスの取締役会長から退くことになった。やはりトップ200コレクターズに名を連ねる兄ジョセフのコレクションについては、少なくともトーマスよりは情報がある。なお、ラウのアートやビジネス以外の活動としては、中国の歴史ある主要大学の1つ、上海交通大学の理事職が挙げられる。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。

あわせて読みたい