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ジョー・キャロル&ロナルド・S・ローダー(Jo Carole and Ronald S. Lauder)

拠点:アメリカ・ニューヨーク、ニューヨーク州ワインスコット、ワシントンD.C.、フロリダ州・パームビーチ、フランス・パリ、オーストリア・ウィーン
職業:化粧品製造販売(エスティ ローダー カンパニーズ)
収集分野:13~14世紀イタリア金地背景画、古美術、武器・甲冑、中世美術、オールドマスター、20世紀装飾美術、オーストリア・ドイツ表現主義、戦後のドイツ・イタリア美術、現代アート

化粧品業界の伝説的人物、エスティ・ローダーの息子であるロナルド・S・ローダーは、中世から現代に至る4000点以上の美術品を所蔵している。彼の収集方針は、芸術を「Oh」、「Oh My」、「Oh My God(OMG)」の3つのレベルで考え、「OMG」だけを集めることだという。そして、最高の作品を入手するためには時間をかけることを厭わず、金にも糸目をつけないと語っている。

「OMG」の1つが、2006年に当時の最高落札額、1億3500万ドル(約197億円)で手に入れたグスタフ・クリムトの「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I」(1907)だ。ローダーが「モナリザ」と呼ぶこの作品は、現在ニューヨークのノイエ・ギャラリーに収蔵されている。同美術館は、2001年にマンハッタンのアッパーイーストサイド5番街にある豪華な邸宅を利用して設立されたもので、20世紀初頭のドイツとオーストリアの美術品を展示している。パウル・クレーによる多数のドローイングや、ハンス・リヒターによるジークムント・フロイトの肖像画など、見どころは多い。

2019年7月、ロナルドが第2次世界大戦関連の記念品のコレクション2500万ドル(約36億円)の所有者であることが明らかになった。そのきっかけとなったのは、第2次世界大戦博物館の創設者が彼に売った資料を返却するよう求めた訴訟だった。妻のジョー・キャロルとともに、グスタフ・クリムト、エゴン・シーレ、オットー・ディクスなどをはじめとするドイツとウィーンの近代美術の一大コレクションを所有するローダーは、2020年にメトロポリタン美術館に対し、90点以上の武器・甲冑の寄贈を行っている。

注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。

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