ディミトリ・マブロマティス(Dimitri Mavrommatis)
・拠点:フランス・パリ
・職業:投資銀行、資産運用会社
・収集分野:モダンアート、戦後美術
ギリシャ出身の金融マン、ディミトリ・マブロマティスは、アールデコの家具(名工エミール=ジャック・ルールマン作のアームチェアを含む)、18世紀のセーブル磁器、アフリカ彫刻、モダニズム絵画を所有している。
面白いことに、彼は自分のコレクションの多様性を禁煙のおかげだと言う。1980年代にニューヨークでソロモン・ブラザーズに勤めていたころ、休憩時間にタバコを吸わずにいるため、メトロポリタン美術館に行って好奇心を刺激するさまざまなアートを鑑賞したのが影響したというのだ。そのコレクションには、アンリ・マティスの《Odalisques Playing Checkers》や、パブロ・ピカソの《Woman With a Blue Robe》、ジョアン・ミロ、アレクサンダー・カルダー、アンディ・ウォーホル、クリストファー・ウールなど、著名作家の作品が並ぶ。
パリのジョルジュ・マンデル通りにあるアパートメントには、70点あまりのセーブルの花瓶や18世紀の金メッキの家具が飾られている。2016年にマブロマティスは、ウォール・ストリート・ジャーナル紙にこう語った。「セーブルから宝石へ、ギリシャ古代美術からオールドマスターズへ、そしてアールデコへと限りなく関心が広がっていくのはなぜか、心理学者に診てもらうほうがいいかもしれない」
思い入れのある作品も多い一方で、オークションに出品することもある。2014年にはサザビーズで、珍しいグラフのルビーの指輪を売却。ピジョンブラッドと呼ばれる希少な赤色が美しい8.62カラットのルビーは、約680万ドル(約9億8000万円)で落札された。マブロマティスは現在、クリスティーズとサザビーズ両社の諮問委員を務めている。
注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。