ケリー&スコット・ミューラー(Kelly and Scott Mueller)
拠点:アメリカ・オハイオ州クリーブランド
職業:タイヤ販売(ディーラー・タイヤ)
収集分野:現代アート、20世紀のデザイン

ディーラー・タイヤ社のCEO、スコット・ミューラーと妻のケリーは、長年クリーブランド美術館への援助を続けてきた。スコットが同美術館に2000万ドル(約29億2000万円)を超える寄付を行ったというニュースが流れたとき、彼は「クリーブランド美術館が傑出した現代アートを収集・研究し、新進アーティストの作品を積極的に展示できるようにしたい」と語っている。スコットはまた、2019年から2022年まで同美術館の理事長を務めていた。
ミューラー夫妻のコレクションは彫刻が中心で、約60万平方メートルの敷地を持つ邸宅の広大な庭には、30点以上の屋外彫刻が設置されている。野心的な作品で知られるジョナ・フリーマンとジャスティン・ロウのデュオによる没入型インスタレーションのために地下室を建設したほか、リチャード・セラの《Rowdy Meadow Ridges》(2018)の設置にもかなりの出費をしている。巨大な鋼板でできたこの作品を設置するため、森の中の急斜面に道路を敷設したミューラー夫妻はUS版ARTnewsにこう説明している。「道路は総重量が50トン近い5枚の巨大な鋼板だけでなく、設置に必要なクレーンなどの重機の重さにも耐えられるものでなければなりませんでした」。なお、設置後には森を元の状態に戻すための作業も行われた。
ちなみに、クリーブランド・プレーン・ディーラー紙にアートコレクションを始めたきっかけを聞かれたスティーブは、「趣味にできることを探していて、ゴルフに挫折したから」と答えている。
注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。