マーヤ・オエリ(Maja Oeri)

拠点:スイス・バーゼル
職業:遺産相続(医薬品)
収集分野:現代アート

マーヤ・オエリは祖父から受け継いだ資産で、さまざまな現代美術館に多額の寄付を行っている。彼女がバーゼルに設立したシャウラガー・ローレンツ財団美術館(ヘルツォーク&ド・ムーロン設計)は、祖母の美術コレクション展示を主な目的としたものだ。オエリの祖父、エマニュエル・ホフマンは、現在では時価総額が2200億ドル(約32兆円)にのぼる企業の創業者で、その資金力をもって美術品の収集を始め、のちにエマニュエル・ホフマン財団を創設した。

同財団はバーゼル美術館やバーゼル市立美術館などに作品を提供したほか、1960年以降に制作された美術品のみを扱うヨーロッパ初の美術館(バーゼル立美術館の別館)にも資金を出している。2002年以降、エマニュエル・ホフマン財団の所有作品のうち、各美術館に寄託されていないものは全て、シャウラガー・ローレンツ財団美術館で展示されている。

オエリは世界有数のアートコレクター・パトロンとして知られ、数多くの美術館や大学の理事を務めている。また、美術館への支援だけでなく、スイスの大学の美術史プログラムにも資金協力をしている。ニューヨーク近代美術館(MoMA)の理事でもあるオエリは、ヨーゼフ・ボイスやポール・チャンの主要作品を同館に寄贈。オエリと彼女の亡きパートナー、ハンス・ボーデンマンの貢献を称え、MoMAは夫妻の名前を冠した展示室を設けた。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。