ジャネル&オールデン・ピネル(Janelle and Alden Pinnell)

拠点:アメリカ・ダラス
職業:化粧品、投資家
収集分野:現代アート

ダラスで指折りの活動的なコレクター、ジャネル&オールデン・ピネル夫妻は、アートパトロンの長い伝統を持つこの街の新世代として注目されている。その彼らがダラスにもたらした大きな貢献の1つに、パワーステーションの設立がある。これは市内のエクスポジション・パーク地区にある1920年築の旧ダラス・パワー&ライト・ビルを利用した現代アートの非営利スペースで、2011年にオープンした。国際的なアーティストの作品を幅広く紹介し、ダラスのカルチャーシーンを豊かにすることを目的としたパワーステーションでは、これまでにロシェル・ゴールドバーグ、ユウジ・アゲマツ、カルヴィン・マーカス、スティーヴン・パリーノ、エリック・N・マックなどの作品を展示している。

オールデンは2012年に、「ダラスが私の大学時代とは違う街になってほしい」と、同地のローカル誌であるDマガジンに語っている。「ダラスは文化的な活気に欠けると言う人は多いですが、私は絶対にそうなれると信じています」。そして2014年、彼はUS版ARTnewsの取材にこう答えた。「パワーステーションがオープンして数年経っても、まだ目新しいものと捉えられているのは確かです。ブルックリンで同じことをしたら、すぐに馴染んでしまうでしょうが」

ピネル夫妻は、スキンシューティカルズという高級スキンケア製品で財を成した。そのコレクションには、マイク・ケリー、シェリー・レヴィーン、ドナルド・ジャッド、リチャード・タトル、ライアン・トレカーティン、マーク・ブラッドフォードなどの著名作家や、エリック・N・マック、ジャンジャコモ・ロセッティといった新進アーティストの作品が含まれている。

世界中の多くのアートスペースと同じく、 パワーステーションもコロナ禍で2020年の大半の期間、閉鎖を余儀なくされた。夫妻は同年、US版ARTnewsの取材に「ペーター・ヴェヒトラーとの展覧会を中断し、マシュー・サーレッティとのプロジェクトを延期せざるを得なかったのはとても残念です」と述べている。しかし、閉鎖のおかげで先送りされていた施設の改修とメンテナンスを行うことができたという。また、ロックダウンの期間中には、地元ダラスを拠点とする新進アーティスト、マージョリー・ノーマン・シュワルツの作品などを購入し、コレクションの充実を図っている。

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