ザビーヌ&ハッソ・プラットナー(Sabine and Hasso Plattner)
拠点:ドイツ・ハイデルベルク
職業:ソフトウェア企業(SAP)
収集分野:旧東ドイツ美術、印象派

ドイツの億万長者ハッソ・プラットナーは、1970年代にIBMを離れ、「システム、アプリケーション、製品」の頭文字を組み合わせた名前を持つソフトウェア企業、SAPを設立。旧東ドイツの画家、特にライプツィヒ派の絵画を愛する彼のコレクションには、ヴォルフガング・マットホイヤー、ヴェルナー・チューブケ、ベルンハルト・ハイジッヒ、ヴィリー・シッテ、ウルリッヒ・ハチュラ、エーリッヒ・キッシング、ハルトヴィッヒ・エバースバッハ、アルノ・リンク、ミヒャエル・トリーゲルなどの作品が含まれている。2004年には、スタンフォード大学にハッソ・プラットナー・インスティテュート・オブ・デザインを創設。デザインまわりの複雑な課題に、創造的な解決策を生み出すための研究が行われている。
2019年5月、8分間の激しい競り合いの末、モネが1890年に描いた「積みわら」シリーズの1点が1億1070万ドル(約162億円)で落札され、当時オークションで落札された印象派作品の史上最高額を樹立した。買い手は公にされなかったが、業界筋によれば、落札したのは、クロード・モネ、ピエール=オーギュスト・ルノワール、アルフレッド・シスレーといった印象派の大作やドイツ美術の収集で知られるプラットナーの代理人だったという。ただし、プラットナー自身はモネの購入を否定している。
このオークションの開催前月、プラットナーは、旧東ドイツのポツダムで長らく閉鎖されていた社会主義時代のレストラン「ミンスク」を、自分のコレクションを展示する新しい美術館にすると発表。ポツダム市内では、バルベリーニ美術館に次いでプラットナーが運営する2番目の施設となるものだが、ファサードの改築と内部の改装が必要で、美術館をオープンさせるのは決してたやすいことではない。これについてプラットナーは、アートニュースペーパー紙にこう語っている。「バルベリーニのスペースが足りなくなってきているので、新たな施設が必要です。ミンスクは美術館に転用可能だと考えています」
注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。