ペニー・プリツカー、ブライアン・トラウバート(Penny Pritzker and Bryan Traubert)
拠点:アメリカ・シカゴ
職業:投資家、テクノロジー、不動産デベロッパー
収集分野:現代アート
ペニー・プリツカーは、ハイアット・ホテルズで財を成したシカゴのプリツカー家の一員だ。彼女は辣腕の実業家として、不動産業からの多額の収入で一族の資産をさらに増やしている。ハーバード大学を卒業し、1985年にスタンフォード大学でビジネスと法律の修士を取得したとき、プリツカーは男性優位のビジネス界でリーダーシップを取れる存在になろうと決意した。
その後、2014年に米フォーチュン誌の全米企業ランキング、フォーチュン500にランクインしたときのインタビューでは、「簡単なことではありませんでした」と答えた。また、 2020年に純資産が約27億ドル(約3900億円)と評価されたときには、「私は家族のために働いてきましたが、そのほとんどは私がゼロから築いたものです。ビジネスを立ち上げるのが大好きなので」と語っている。
10社以上の企業を創設したプリツカーの堅実な起業家ぶりは今も変わらない。オバマ政権で商務長官を務めた彼女は、2008年の民主党大統領予備選でヒラリー・クリントンと争っていたオバマ陣営に数億ドルを寄付。政治メディアの米ポリティコに「オバマ内閣唯一の億万長者」と評された。
プリツカーはシカゴのアートパトロンとしても知られ、シカゴ現代美術館の理事長を務めたこともある。そのコレクションは現代アートが中心で、夫のブライアン・トラウバートとともに、アルバート・オーレンやドリス・サルセドなど数多くのアーティストの作品を所有。また、プリツカー・トラバート・ファミリー財団を通じて、シカゴの青少年向けに教育、健康、芸術文化プログラムを提供している。ビジネスベンチャーの経営、アートコレクションとともに、マラソンも彼女が没頭できる趣味だという。
注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。