フリーズ運営会社が700億円近くの損失を計上。アートフェアの利益率の低さが浮き彫りに
ハリウッドのエンターテインメント企業であるエンデバー・グループ・ホールディングスが、約655億円の損失を計上したと発表した。フリーズを運営するイベント部門は145%の増益を記録しているものの、損失額は約106億円。同アートフェアの売却の可能性が現実味を帯びつつある。
先月、フリーズを含むイベント部門傘下の資産売却を検討していると発表したばかりのハリウッドのエンターテイメント企業、エンデバー・グループ・ホールディングス(以下、エンデバー)は、第3四半期に4億2036万ドル(約655億円)の損失を計上したと報告した。これは、前年同期の1億1600万ドル(約180億円)の損失額から大幅増となる。
しかし、11月上旬に発表されたIR報告書によると、同社の収益は前年同期の13億4000万ドル(約2088億円)から20億ドル(約3112億円)に増加したという。
また、同報告書によれば、パリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会の独占ホスピタリティプロバイダーを務めた同社傘下のOn Locationの業績が好調だったことから、エンデバーのイベント部門の第3四半期の収益は145.1%増の8億9980万ドル(約1402億円)となった。であるにも関わらず、支払利息や減価償却費などを差し引いた後の利益額を見ると、6800万ドル(約106億円)の損失となり、昨年同期に計上された2985万ドル(約46億5200万円)の倍を上回る額となっている。
エンデバーがフリーズの買収を回収したのは2016年。2023年5月には、残りの30%の株式を1650万ドル(現在の為替で約26億円)で取得して買収を完了した。この評価額は、2022年の同社の米証券取引委員会に提出された書類に示されているように、2022年の同株式の推定価値である2460万ドル(同約38億円)を下回っていた。エンデバーに買収された当時のフリーズは、ロンドンとニューヨークでフェアを開催していたが、買収後、2019年と2020年にそれぞれソウルとロサンゼルスでも開催し、事業を拡大してきた。
エンデバーは新型コロナウイルスのパンデミックの最中、リアル開催されるイベントの復活を試み、その結果、イベント部門は2022年に25億ドル(現在の為替で約3895億円)の収益を上げ、総収益の47%をしめたという。
しかし、かつてフリーズ・ニューヨークの企画に携わり、予算管理を担当していたマネージャーは、US版ARTnewsの取材に匿名で応じ、イベント自体の利益率は低いと語っている。また、アートフェアと雑誌『Frieze』および『Frieze Week』を合わせたこれらのアセットは、エンデバーのポートフォリオにおける「宝石」と表現し、同社の稼ぎ頭というより、アート界との橋渡し的役割を担っている存在であるとも付け加えた。(翻訳:編集部)
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