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WWEやUFCを手放したエンデバーがフリーズの株式売却も検討中。タレント事業の拡大に専念か

エンデバーグループ・ホールディングスは、2016年に買収し、運営をになっているアート・フェア、フリーズの株式売却を検討していることがこのほど発表された。これ以外にも保有していたさまざまなスポーツイベントの株式を手放すことも検討しており、タレント・エージェンシー事業に注力する姿勢を見せている。

2024年のフリーズ・ロンドンの様子。Photo: Linda Nulind/Courtesy of Frieze

タレント事務所やスポーツ団体を所有する企業であるエンデバー・グループ・ホールディングスが発表した声明によると、フリーズを含む同社が運営するイベントの一部売却を検討しているという。フリーズ以外にも、マイアミ・オープンとマドリード・オープンの2つのテニストーナメントの売却も検討しており、エンデバーの手元を離れるイベントは今後も増える可能性もある。

このニュースは、カリフォルニア州メンローパークに拠点を置く投資会社、シルバー・レイクが、ニューヨーク証券取引所に上場してから3年後にエンデバーを非公開化すると公表した後に発表された。この取引の株式価値は130億ドル(約1兆9732億円)と設定され、シルバー・レイクは1株あたり27.50ドル(約4000円)を支払うことで合意した。これは2023年10月の株価を55%上回っており、フィナンシャル・タイムズによると、取引当時にシルバー・レイクはエンデバーの議決権の約71%をすでに支配していたという。

エンデバーは、同名のロンドンを拠点とする美術誌や複数のアートフェアを運営するフリーズの株式を2016年に取得しており、フリーズは当時、フリーズ・ロンドンとフリーズ・マスターズを運営していたほか、ニューヨークでもフェアを開催していた。

エンデバーがフリーズを買収して以来、2019年にはロサンゼルスで、そして2022年にはソウルにて、それぞれアートフェアを開催している。また、昨年夏にフリーズはアメリカの2つのアートフェア、エキスポ・シカゴと、ニューヨークにおけるフリーズの競合相手であるアーモリー・ショーも買収した。そして2021年には、フリーズはロンドンの高級住宅街メイフェア地区に常設展示スペースNo.9 Cork Streetをオープンしている。

これらのフリーズ傘下の資産はすべて売却対象として評価されているものの、2025年のアートフェアは予定通り開催される見通しだ。

この発表は、エンデバーにおける戦略転換を示しており、同社はこれまでのタレントエージェンシーの事業を強化する方向へと軌道修正するだろう。エンデバーが過半数を所有するスポーツおよびエンターテイメント企業であるTKOグループ・ホールディングスも、アスリートのマネジメントを行うIMGや、スポーツイベントを主催するオン・ロケーションなどを総額32億5000万ドル(約4940億円)の株式取引で取得したと発表した。今回の売却についてエンデバーのCOOを務めるマーク・シャパイロは次のような声明を発表している。

「エンデバーは、スポーツやエンターテイメント、芸術の分野を網羅する象徴的かつグローバルな必見イベントを運営しています。当社傘下のフリーズ・ロサンゼルスやソウルにおけるフェア開催の成功、マイアミ・オープンやマドリード・オープンの観客動員数やスポンサーシップの記録を毎年更新するなど、それぞれのイベントは大きく成長を遂げてきました。この進歩を誇りに思うとともに、これらのユニークな資産は将来的にさらに成長すると確信しています」

審査にどのくらいの期間がかかるかについては明確なスケジュールは定められておらず、審査は必ずしも販売を意味するものではないとシャパイロは述べておりこう続ける。

「エンデバーは、本書に記載されているイベント資産の売却の可能性について、さらなる開示が必要または望ましいと判断するまでは、これ以上コメントするつもりはありません」(翻訳:編集部)

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