パトリツィア・サンドレット・レ・レバウデンゴ(Patrizia Sandretto Re Rebaudengo)
拠点:イタリア・トリノ
職業:製造業、エネルギー企業
収集分野:現代アート
パトリツィア・サンドレット・レ・レバウデンゴのコレクションには、1500点以上の現代アート作品、約1000点のコスチューム・ジュエリー、約3000点の写真作品が含まれ、過去25年間に収集された中には、マウリツィオ・カテラン、イアン・チェン、ベーリンデ・デ・ブルーケア、ケリス・ウィン・エヴァンス、ダミアン・ハースト、ジョシュ・クライン、サラ・ルーカス、リネッテ・イアドム=ボアキエ、マーク・マンダース、チャールズ・レイ、シンディ・シャーマン、ルドルフ・スティンゲル、ローズマリー・トロッケル、アドリアン・ビジャール・ロハスなどの作品がある。
レバウデンゴがUS版ARTnewsに語ったところによると、彼女のコレクションの特徴を最もよく表しているのは、マウリツィオ・カテランのリスの彫刻《Bidibidobidiboo》だという。彼女はこの作品を「マスコットのようなもの」と表現し、こう説明した。「タイトルは、ディズニー映画『シンデレラ』でフェアリー・ゴッドマザーが唱える魔法の言葉をもじったものです。1996年にロンドンのローレ・ジェニラード・ギャラリーで見て、一目惚れしました」
レバウデンゴの両親もコレクターで、母親は磁器を集め、プラスチック射出成型の会社を経営していた父親は、19世紀後半以降の歴史的なプラスチック製品を収集していた。そのコレクションはイタリア・ピエモンテ州のポント=カナヴェーゼにある博物館に展示されている。
コレクションを始めて3年目の1995年、レバウデンゴは収集した作品を一般公開するため、イタリア・トリノにサンドレット・レ・レバウデンゴ財団を設立した。ちなみに、マドリードに約6300平方メートルの分室をオープンする計画もあったが、2020年に「構造上の問題」があるとして断念されている。
財団で実施された最も刺激的な展示の1つに、アドリアン・ビジャール・ロハスの2015年の作品がある。そのインスタレーションでは、109個の大きな岩の上に、魚、チーズ、サラミ、果物など、あらゆる種類の有機物がトッピングされていた。3カ月以上におよぶ展覧会で腐敗臭を最小限に抑えるため、ビジャール・ロハスは会期中に暖房を使わないよう要請したという。サンドレット・レバウデンゴはそのときのことをこう語った。「展覧会を開催したのは冬だったので、日が落ちかかった頃に来た人も少なくありませんでした。暖房を切ってあるので、まるで月にでもいるようでした」