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セサル&ミマ・レイエス(César and Mima Reyes)

拠点:プエルトリコ・サンファン
職業:精神医学者
収集分野:現代アート

60年代から70年代にかけてプエルトリコで育ったセサル・レイエスは、フィラデルフィアで医学を学ぶようになるまで、現代アートに触れる機会がほとんどなかったという。彼にとって最初の衝撃的な体験になったのは、1980年にニューヨーク近代美術館で開催されたピカソの回顧展、そしてフィラデルフィア美術館のデュシャンのコレクションやバーンズ財団の印象派コレクションだった。

当初、彼はドローイングなど紙の作品を買っていた。しかし、1994年に当時マンハッタンのソーホーにあったギャビン・ブラウンのギャラリーで開催されたピーター・ドイグの展覧会を訪れ、またもや衝撃を受ける。以後、エリザベス・ペイトン、クリス・オフィリ、ホルヘ・パルド、ヴェルヌ・ドーソン、ローラ・オーウェンズ、リクリット・ティラヴァーニャといった現代アーティストの作品を手に入れ始めた。それが、彼と妻のミマがプエルトリコでリスペクトされるアートコレクションを構築する土台となった。

「アートを収集することで、視覚的、概念的だけでなく、社会的にもユニークな体験ができると感じています」と、レイエスはUS版ARTnewsのメールインタビューに答えている。「このコレクションは、数多くのアーティスト、ディーラー、キュレーターとの友情によって作られたと言えます。私たちは、作品同士が呼応し合い、思いがけないつながりや対話を生み出す環境を生み出そうとしているのです」

夫妻はまた、ラファエル・フェレール、アローラ&カルサディージャ、ヘスス・ブブ・ネグロン、ホセ・レルマ、アンヘル・オテロ、エノク・ペレスといったプエルトリコ人アーティストの支援を始めた。最近のコレクションには、アブラハム・クルズヴィエイガス、カロリーナ・カイセド、アルヴァロ・バリントン、ロベルト・ジル・デ・モンテス、ガブリエラ・トーレス=フェレール、オルガ・バレマ、ロジェリオ・バエス、セリア・ポール、レイラ・バビリエなどの作品がある。

フリーズ・ニューヨーク2019の一環として行われたトークイベントでセサルは、「アートの中心地とは言えない場所で作品を収集することで、私は異なる視点を持てたと思います」と、エル・ムセオ・デル・バリオのパトリック・シャルペネル館長に語った。「サンファンに住んでいた私は、アート界のアウトサイダーのように感じていましたが、それがかえって私を自由にしてくれたのです。私はトレンドに流されることなく、すでに所有している作品と共鳴し、作品同士の対話をよりいっそう高めてくれるようなアートを探しています。実は、展覧会のために作品を借し出すようになるまで、自分のことをコレクターだと思っていませんでした」

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