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フレディ・マーキュリーのプライベート・コレクションがオークションへ! あの名作を生んだピアノから歌詞草稿、浮世絵まで

9月に開催されるフレディ・マーキュリーの未公開プライベート・コレクション・オークション「A World of His Own」の全出品アイテム1400点が、8月3日よりサザビーズの公式HPにて公開、8月4日からはサザビーズ・ロンドンギャラリーにて展示公開されている。

フレディ・マーキュリー着用の王冠とマントの予想落札価格は、60,000〜80,000 ポンド(約1,085万円〜1,447万円)。Photo: Courtesy of Sotheby’s

フレディ・マーキュリーといえば、伝説的ロックバンド、クイーンのボーカリストとして有名だが、今回の出品コレクションには、楽曲制作に使用されたピアノや、歌詞草稿だけでなく、マーキュリー自身が収集した日本美術品も含まれており、コレクターとしてのマーキュリーの姿を垣間見ることができる構成だ。

名曲「ボヘミアン・ラプソディー」 に使用されたYAMAHA G2ベビーグランドピアノが出品

数々のヒット曲を生み出したYAMAHAベビーグランドピアノ。Photo: Courtesy of Sotheby’s

今回の出品アイテムの中でも最大の目玉は、YAMAHA G2 ベビーグランドピアノで、予想落札価格は2,000,000ポンド〜3,000,000ポンド(約3億6,172万〜5億4,276万円)。このピアノにまつわる逸話は数知れないが、特筆すべきは、マーキュリーは「ボヘミアン・ラプソディー」の作曲にあたり、このピアノのエレガントな外観とクリーンでクリアなサウンドを気に入り購入したというエピソード。到着からわずか数カ月の間に、あの壮大なヒット曲を世に生み落としたのだ。

彼はピアノを単なる楽器ではなく創造性の手段であり、自らの存在の延長であると考えていた。そのためタバコを吸ったりアルコールを飲みながらピアノに向き合うなどということは決してせず、ピアノはいつもピカピカだったとも言われている。

「Bohemian Rhapsody」の歌詞草稿も!

Photo: Courtesy of Sotheby’s

今回のオークションには、「Bohemian Rhapsody」、「Don’t Stop Me Now」、「Some body to Love」、「We Are the Champion」などの名だたるクイーンの名曲の歌詞草稿も出品される。あるページでは、マーキュリーが当初この曲を「Mongolian Rhapsody」と呼ぶつもりだったが、その箇所を消して「Bohemian」に置き換えたことが明らかにされている。

別のページでは、有名な2番の歌詞「Mama, just killed a man」の代替案が紹介されており、3ページ目は、この曲のオペラ的な部分に焦点を当てたもので、単語やフレーズの羅列で完全に覆われている。

日本美術品のコレクターの側面も持つフレディ・マーキュリーのコレクションの数々

親日家であったマーキュリーは、日本を訪れるたび着物や帯、日本の高級磁器、福川窯の陶器、木版画、漆塗りのアンティーク家具などを買い求めており、一時期は、明治時代から20世紀初頭のリバイバル作品に至るまで、イギリス最大級の日本のアンティーク木版画コレクションを所有していたほど。そこには、モネやゴッホなど印象派の画家たちに多大な影響を与えた日本の木版画の名作、歌川広重《新大橋と安宅のにわか雨》も含まれている。オークションでの予想落札価格は、30,000ポンド〜50,000ポンド(約542万円〜904万)。

そのほか、オークションでは「ボヘミアン・ラプソディー」のミュージックビデオで着用したサテンのスーツなどが出品される。また、オークションに合わせて、選りすぐりのハイライトを紹介するコレクションブックも併せて発売される予定だ。コレクションブックは、8月4日から9月13日までサザビーズ・ロンドンギャラリーにて限定販売、または、Hatchardsのオンラインストアでも購入することができる。

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