全長12メートルの古代ローマの船をセルビアの炭鉱で発見。ドナウ川を航行か
セルビア中部にあるドルムノ炭鉱の労働者が、古代ローマ時代の船と見られるものを発見した。考古学研究者は、ドルムノに近いウィミナキウム遺跡に関係する遺物と考えている。
発掘調査を率いる考古学者のミオミール・コラッチは、「発見された長さ約12メートルの船は古代ローマのものと推定されるが、正確な年代はまだ明らかではない」と、ロイター通信の取材に答えた。コラッチ自身は、紀元3〜4世紀のものと見ている。
2020年以降、ドナウ川につながるムラヴァ川に近いこの地域では、もう1隻の船が出土している。それ以前を含めると、これまで2隻の船と3隻の小型の舟が発見された。
ウィミナキウムはローマ帝国上モエシア属州の首都で、ドナウ川の支流近くに港があった。人口4万8000人ほどのこの都市には、テオドシウス帝などのローマ皇帝も訪れたと考えられている。
19世紀以降、考古学的調査が続けられているウィミナキウム遺跡では、墳墓、円形闘技場、水道橋跡などが見つかった。発掘の成果は、首都ベオグラードおよびポジャレヴァツの博物館に展示されている。
ロイター通信によると、新たに発見された遺物の一部は、ドルムノに隣接するコストラツで展示される予定だという。しかし、全長12メートルもある船体そのものを見せるのは難しいかもしれない。(翻訳:石井佳子)
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