ロバート・ソロス(Robert Soros)

拠点:アメリカ・ニューヨーク
職業:投資業
収集分野:現代アート、戦後美術、写真、彫刻

ニューヨーク育ちのロバート・ソロスは、幼い頃から現代アートに親しんできた。市内のギャラリーや美術館を頻繁に訪れていた彼が、現役アーティストの作品を初めて手に入れたのは20代。以来30年、マーティン・キッペンバーガー、ジグマー・ポルケ、ローズマリー・トロッケル、ロバート・モリス、リチャード・セラといった戦後美術の有名作家をコレクションしてきた。それに加え、レイチェル・ハリソン、ナイリー・バグラミアン、ポープ・L、シモーヌ・リー、ゲディ・シボニー、ジャクリーン・ハンフリーズ、アニカ・イーなど、画家や彫刻家から大規模なインスタレーションを手がけるアーティストまで、今日のアート界を代表するアーティストの作品を所有している。

そのソロスは、少なくとも一度、所有作品を売却したことがある。2022年にアートネット・ニュースが報じたところによると、ソロスと妻のメリッサは、エルビス・プレスリーを描いたアンディ・ウォーホルの絵をサザビーズのオークションに出品している。

ソロスが最初に注目したアーティストの1人に、ロサンゼルスを拠点に活動した故マイク・ケリーがいる。ケリーの作品を複数所有しているソロスは、US版ARTnewsの取材に対し、巨大な彫刻的インスタレーションに代表されるケリー独特のコンセプチュアルで対立的な表現に惹かれるとし、「アイデアとプロセスをマニアックに追求するアーティストに、私はいつも刺激されてきました」と語った。

ロバート・ソロスの父、ハンガリー系アメリカ人の著名投資家で慈善家のジョージ・ソロスの資産は、2022年10月時点で約67億ドル(約9700億円)と米フォーブス誌は推定している。ジョージ・ソロスは「新たな税収は超富裕層から徴収されるべきだ」と主張し、2019年には、5000万ドル(約72億円)超の資産に1ドルあたり2セントの課税、10億ドル(約1450億円)超の資産にはそれに加えて1ドルあたり1セントの追加課税を求める書簡に署名している。これによって、10年間で推定3兆ドル(435兆円)の税収を生み出すことができるという。

2018年に設立されたソロス・キャピタルの会長兼CIOであるロバートも、父親に倣って多額の寄付を行い、ニューヨークのザ・キッチン、クイーンズのMoMA PS1、ロサンゼルスのハマー美術館など、数多くの文化施設を支援している。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。